2015年02月11日

カラヤン&ベルリン・フィルのマーラー:交響曲第5番


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極限の美を追求した、カラヤンならではの磨き抜かれた壮絶な演奏を体感できる1973年録音盤。

1973年のベルリン・フィルとの公演で初めてマーラーの交響曲第5番を演奏するために、カラヤンは2年間におよぶリハーサルを繰り返し、その後、満を持してこの名高い録音が生まれたという。

カラヤンは、他の多くの独墺系の巨匠と同様に、マーラーを決して積極的に採り上げる指揮者ではなかったと言われる。

主要な交響曲作曲家の全集を悉く完成してきたカラヤンにしてみれば、確かに、そのような指摘は当たっているのかもしれない。

しかしながら、例えば同時代に活躍した巨匠ベームが、マーラーの交響曲の録音を一切遺さなかったのに比較すれば、「第4」〜「第6」、「第9」そして「大地の歌」の録音を遺しているカラヤンは、決してマーラーを毛嫌いしていたわけではないと言うことができるのではなかろうか。

むしろ、カラヤンの楽曲へのアプローチ、つまりは徹底的に磨き抜かれた美へのあくなき追求や完全無欠のアンサンブルといったものが、マーラーの交響曲ではなかなか発揮することができないという側面があったのではないかと思われる。

そう思ってみると、カラヤンが指揮した前述の楽曲の選択も、なるほどと思わせるものがある。

本盤の「第5」は、「大地の歌」を除くと、交響曲録音の先陣を切ったものである。

ベルリン・フィルの圧倒的な合奏力をベースにして、いかにも演出巧者らしいカラヤンならではのアプローチであり、特に、第4楽章のため息が出るような耽美的な美しさは、カラヤンの真骨頂というべきであろう。

もっと情感たっぷりに盛り上がる演奏が他にいくらでもあるが、カラヤンの演奏はあくまで緻密で正確に過度の情感を抑えたような指揮ぶりだ。

カラヤンらしいのはスコアに書かれたどんな音でも明確に分かりやすく表現していながら、全体の美観やバランスが全く崩れていないところで、今更ながら驚異的である。

もちろん、カラヤンの得意とは必ずしも言えない曲だけに、カラヤンとしてはややたどたどしい箇所も散見されるが、全体としてみれば、ある種の世紀末的なデカダンスの雰囲気が漂う耽美的で、なおかつ重厚さも併せ持つ名演と評価したい。

当時のライナーノーツを見ると、マーラーが古典と成り得るかどうかが論じられており、そのような状況でカラヤンがマーラーを取り上げたことが、ちょっとしたエポックメイキングな事であった。

だからこそ、カラヤンのこの録音は、定番だったワルターやバースタインの指揮したものとは、はっきり異なっている。

人気のある交響曲なので他の録音を既に所有している人も多いと思うが、本作は明晰さや美意識に溢れた作品に仕上がっており、今でもその価値を失っていない。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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