2015年01月29日

ケンペ&ミュンヘン・フィルのベートーヴェン:交響曲第2番、第4番


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最近では、ベートーヴェンの交響曲の演奏にも、古楽器演奏や奏法の波が押し寄せてきているが、本盤が録音された1970年代は、まだまだ大オーケストラによるスケールの雄大な演奏が主流であった。

独墺系の指揮者でも、カラヤンやベームといった巨匠が交響曲全集を相次いで録音、また、クーベリックやバーンスタインによる全集も生み出され、いずれも高い評価を得た時代であった。

そんな中で、決して華やかさとは無縁のケンぺの全集が、一世を風靡するほどの評判を得たのはなぜなのだろうか。

ケンペの演奏の本質は、自己の主張を表面に押し出すのではなく、作曲者が様式を通じて表現しようとしたものをそのまま聴き手の前に浮かび上がらせ、提示してくれるところにある。

一見しての派手さはなく素朴な趣をもたらすため、地味な印象を持たれるが、『噛めば噛むほどに味が出る』演奏が展開される。

ケンペが提示する堅牢無比のベートーヴェンには歴史の重さが刻印され、ケンペの誠実さが見え隠れしているのである。

本盤を聴いて感じたのは、確かに、巷間言われているように、厳しい造型の下、決して奇を衒わない剛毅で重厚なドイツ正統派の名演と評することが可能であるが、決してそれだけではないようなケンぺならではの個性が色濃く出ているという点だ。

例えば、「第2」の冒頭の和音の力強さ、第2楽章のこの世のものとは思えないような美しさ、第3楽章は、他のどの演奏にも増して快速のテンポをとるなど、決して一筋縄ではいかない特徴がある。

「第4」は、ベートーヴェンの交響曲の中でもリトマス試験紙のような曲であり、指揮者の力量が試されるなかなかの難曲であるが、他方、古今の一流指揮者が忘れ難い名演を遺してきた曲でもある。

ケンぺは、例えば、ムラヴィンスキーやクライバーのように、最強奏と最弱音のダイナミックレンジの広さを殊更に強調するのではなく、アプローチとしてはあくまでもノーマル。

したがって、あくまでも中庸のインテンポで進行していくのだが、決して体温が低い演奏ではなく、どの箇所をとっても熱い血が通っている。

第3楽章など、他のどの演奏よりも快速のテンポだが、それでいて、全体の造型にいささかの揺らぎも見られないのはさすがと言うべきであろう。

こうして両曲の解釈を俯瞰してみると、ケンぺが単にドイツ正統派の演奏という一言では片付けられないような個性的な演奏を繰り広げていることがわかる。

それでも、ドイツ正統派の玉座の地位を譲らないのは、ケンぺがベートーヴェンの本質を鷲掴みにしているからに他なならない。

録音も、1970年代前半のものとしては、十分に合格点を与えることができる水準であると思う。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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