2015年01月30日

ケンペ&ミュンヘン・フィルのベートーヴェン:交響曲第5番「運命」、第6番「田園」


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ドレスデン近郊に生まれ、第2次世界大戦中も、そしてその後もドイツにとどまり活動を続けていたケンペはドイツ音楽の最大の理解者といっても過言ではない。

表現の色が濃くつく懸念のあるベートーヴェンの交響曲において、ケンペはまさに王道を行く、虚飾を一切排した演奏に終始する。

表面だけを飾り付けたような派手なベートーヴェンとは対局にある、内面からわき上がる本質的な高揚感がここにはあり、聴けば聴くほど深い味わいを持つ演奏が展開されている。

ケンペのつくる音楽は、清く、美しく、力強く、豊かで、最良の意味で男性的。癖、歪み、臭みがなく、健康美に溢れ、音は伸びやかで輝かしい。

正確で緻密で丁寧だが、神経質さは微塵もなく、抑圧や強権性は皆無で、人間的な優しさに満ちている。

病的な部分はどこにもなく、健全で自然、疎外感の克服とか不全感の解消という面がなく、これ見よがしなパフォーマンスも皆無で、実に気持ちのよい音で音楽が淀みなく流れる。

最近のベートーヴェンの交響曲の演奏は、古楽器奏法や古楽器演奏が主流となりつつあるが、そのような中で、本盤のような重厚で男性的な名演に接するとほっとすると同時に、深い感動を覚える。

「第5」の第1楽章のテンポは実にゆったりとしている。

しかし、決してもたれるということはなく、第1楽章に必要不可欠な緊迫感を決して損なうことなく、要所での音の強調やゲネラルパウゼの効果的な活用など、これこそ名匠ケンぺの円熟の至芸というべきであろう。

終楽章のテンポはかなり速いが、決して荒っぽさはなく、終結部のアッチェレランド寸前の高揚感は、スタジオ録音とは思えないほどのド迫力だ。

「第6」の第1楽章もかなりのスローテンポ。

同じようなスローテンポで第2楽章もいくかと思いきや、第2楽章は流れるようなやや速めのテンポで駆け抜ける。

第3楽章に至ると、これまたすざまじい快速テンポ。

こうして両曲の解釈を俯瞰してみると、ケンぺが単にドイツ正統派の演奏という一言では片付けられないような個性的な演奏を繰り広げていることがわかる。

それでも、ドイツ正統派の玉座の地位を譲らないのは、ケンぺがベートーヴェンの本質を鷲掴みにしているからに他なならない。

1970年代初めの録音としては、なかなかの高音質であり、できれば、将来的にはSACD化していただきたいと思えるような歴史的な名演と高く評価したい。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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