2015年02月13日
ワルター&コロンビア響のハイドン:交響曲第88番「V字」/第100番「軍隊」
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最晩年のワルターの代表的な名盤。
ハイドンの交響曲のうち、パリ交響曲以降の傑作群は、大編成のオーケストラが演奏しても十分に聴きごたえのある大交響曲であると考えている。
にもかかわらず、最近では、編成の小さい古楽器演奏だとか、古楽器奏法なるものが一般化しつつあり、ハイドンの交響曲が、コンサートの曲目にのぼることすらほとんど稀になったのはまことに嘆かわしい限りである。
そうした中で、本盤のワルターの演奏を聴くと、実に懐かしく、そして生き返ったような安心した気持ちになる。
ワルターのハイドンは、この指揮者の絶妙なバランス感覚と、形式に対する確かな理解が率直にあらわれたものと言えよう。
「軍隊」は、かつてモノーラルによるウィーン・フィルとの録音が有名であるが、ここでのコロンビア交響楽団との演奏では、この巨匠指揮者が、彼の唯一の録音となった「V字」とともに、遅めのテンポで堂々たる足取りで進めてゆく。
演奏のあちらこちらから、木の温もり、土の香りがするようで、大編成のオーケストラ(と言っても、コロンビア交響楽団なので限度はあるが)を指揮しながらも、ここには機械的だとか、メカニックなどという要素はいささかも感じられない。
ハイドンのオーケストレーションや音楽構成が良く聴こえ、隅々にまで目の届いた、ワルターのハイドンに対する思いやりみたいなものが聴ける。
ワルターは、オーケストラの響きにふくらみをもたせ、歌うような演奏を心がけた指揮者として、ファンの間で根強い人気がある。
第88番の第2楽章だとか、第100番など、あまりのスローテンポに、スコア絶対の原理主義者や音楽学者などからすれば時代遅れだとか誇大妄想とかいう批判もあり得ると思うが、音楽芸術の感動の前には、筆者としては意味のない批判だと思う。
若い頃は比較的地味なハイドン交響曲にそれほど深くレコードで馴染む対象ではなかったのが、このワルター&コロンビア交響楽団の「V字」「軍隊」はハイドン交響曲の「良さ」を感じ取ったものである。
おそらく他の指揮者の演奏に最初に接していたならその良さに気がつくのはもっと遅れていたであろう。
それ位ワルターの演奏はハイドン以上の何かふくよかさが込められたように思え人生の余裕時間を過ごせるようにも感じたところである。
コロンビア交響楽団も、ワルターの指示通りのアンサンブルを聴かせ、余裕から生まれる、豊かな音楽を響かせている。
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