2015年02月15日

アーノンクールのヨハン・シュトラウス・イン・ベルリン


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これはユニークなCDで、全て{原典版}の楽譜を使用した演奏。

随所から通常の楽譜を使用したのとは全く違った響きが耳に入ってくるのも面白いし、いつもと打って変って静かな表現を見せる指揮者にも惹かれる。

2001年の元旦、アーノンクールはニュー・イヤー・コンサートを指揮したのであるが、考えてみると存命している指揮者でシュトラウスの作品を計画的に録音しているのは世界的に見ても彼だけであって、いわば当然の人選だったのである。

アーノンクールは、シュトラウスを、ウィーン古典派から初期ロマン派を経てブラームスに到る管弦楽曲の作家の系譜に連なる一級の作曲家であると述べている。

そして彼は各曲を「一級の管弦楽作品」として最大限の敬意をもって扱っており、その意味で彼の<言説>と演奏という<実践>は、全く矛盾なく一致している。

オーケストラはベルリン・フィルであるが、当時のアーノンクールであれば古巣のウィーン交響楽団も選択肢であったはずだが、意図的に避けたようである。

ベルリン・フィルは、ウィーンのオケよりシュトラウスの演奏経験が相対的に少ない(=先入観が少ない)ので、彼の主張「ブラームスに連なる一級の管弦楽作品」にふさわしい真摯な演奏態度を、より容易に実現できると考えたようだ。

もっともアーノンクール流の徹底的なアナリーゼと再構築を経て実現されるテクスチュアの明晰さを、過不足なく実現できたのは当時ベルリン・フィルだけだったという現実問題もあるだろう。

異常に統制されたフレージングといい、徹底的にアーノンクール流で歌われる旋律といい、ベルリン・フィルの強靭な低弦といい、これはまさに立派な交響詩である。

驚くべ高貴さと透明感に満ちた演奏であり、「クリスタルガラスの輝き」を持つシュトラウスとでも表現できよう。

明晰なテクスチュアが浮かび上がらせたのは、シュトラウスの才能の豊かさ、作品の作り込みの精緻さ、作曲家としての真摯さ、まさにブラームスに匹敵するのだと言わんばかりの前代未聞のシュトラウス像である。

観光都市ウィーンのシュトラウスのプロたちのする観光客向けの甘口の演奏に比較し、キリリと辛口に徹している。

このCDに聴かれるシュトラウスは、ウィーンの伝統の中に生まれてきた作曲家である。

シュトラウスの音楽は「ハプスブルグ王朝の連綿たる芸術音楽の系譜の中にあり、19世紀後半の精神を受け入れ、少しだけポピュラリティーに流れているが、その根っこは完全にして完璧な芸術音楽である」と理解した演奏である。

ブラームスがシュトラウスの作品を愛していたという事実が、極東の音楽ファンにすぎない筆者にもなんとなく体感できる。

極彩色で薄ぼやけたウィーンの夜会みたいな風景に背を向けたアーノンクールが何もない黒ベタを向いて瞑想にふけっている構図のジャケット・デザインも考え抜かれたものだ。

なおこの演奏が気に入ったら、コンセルトヘボウとのCD、ニュー・イヤー・コンサートのCDも買って損はない。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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