2015年02月15日

朝比奈&新日本フィルのブラームス:交響曲全集


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朝比奈隆の実に4度目となるブラームスの交響曲全集である。

2000年9月から2001年3月のブラームス・チクルスのライヴ録音で、これが彼にとって最後のブラームス演奏となったものであるが、これは録音史上10指、いや5指に入るブラームスではないか。

1990年以降の演奏はテンポがかなり遅く、重厚な響きと構成を重視した演奏になっているのは周知のとおりだ。

ロマンのうねりは、1990年代の2種類の録音が優っているが、澄み切った寒い青空の下にある葉のすべて落ちた巨木のように、飾り気のない枯淡・達観の演奏もまた印象深い。

朝比奈と言えば、まずは、ブルックナーの名演で知られるが、この最晩年のライブ1発録音は、壮絶でありながらも、引き締まったフォルムの見事な演奏であることがわかる。

そう、「引き締まった」というのが本全集の大きな特徴である。

いささか間延びがちであった大フィルとの旧全集より、テンポが速く、アンサンブルも緊密だ。

それは、第2番のコーダにも現れている。

大フィル盤と同じくテンポを煽るが、大フィルが朝比奈の指揮棒についていけず、縦の線が完全にずれているのに比べ、新日本フィルは乱れそうで乱れない。

第3番はロマン性よりも、クラシカルな端正さを感じさせるし、第4番も力感に溢れている。

朝比奈はこの演奏について「フルトヴェングラーのまねをするといろいろ問題があるけど、クレンペラーならよいのではないかと思ってね」と、述べていたように思うが、もちろんそれは朝比奈流の洒落であって、出てきた音楽を聴くと、クレンペラーの真似をしたわけではなく、紛れもない、朝比奈の音楽だ。

このブラームス、生演奏だからこその熱さが存分に感じられ、これぞブラームス!という重厚感がひしひし伝わる演奏である。

朝比奈のブラームスへの共感・憧れといった気持ちが全面に出ているように感じられるとともに、ルバートを排し、収斂したテンポで音楽を統一する再晩年の境地が聴ける。

文句の付け所のない完成度の高さ(録音も秀逸)で、音楽はこれまでにもまして白熱し、知・情・意が見事に一致した素晴らしい全集の完成だ。

同じ新日本フィルとのベートーヴェンの交響曲全集と並んで、世界に冠たる大全集の登場である。

なぜか、朝比奈の場合、実演よりも録音のほうが良く聴こえることが多いというのも妙だが、筆者としてはそう感じるのだから仕方ない。

普段朝比奈を「アバウト」な指揮者だと思っている人は、これを聴くと考えを改めるだろう。

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classicalmusic at 20:52コメント(0)トラックバック(0)ブラームス | 朝比奈 隆 

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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