2015年05月24日
ヨッフムのオルフ:カルミナ・ブラーナ[SACD]
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名指揮者オイゲン・ヨッフム以下ソリスト、コーラス、オーケストラ総てをドイツ勢で固め、ドイツの底力を示した稀代の名演。
ヨッフムの棒の下に非常に几帳面な音楽作りがなされていながら、結果的にはこの曲が持つ神秘的な静寂と、大地の底から湧き上がる叫び声のような奔放でしかも驚異的な音響効果の双方を表現することに成功している。
本盤ついては不朽の歴史的な超名演として名高いものであり、既に筆者も次のようなレビューを投稿済みである。
「最近では非常に人気のある作品であり、数々の録音がなされているカルミナ・ブラーナであるが、録音以来40年以上が経過した現在においてもなお、本ヨッフム盤の価値がいささかも色褪せることはない。
それどころか、本演奏は、プレヴィン&ウィーン・フィル盤(1995年)などの様々な指揮者による名演に冠絶する至高の超名演と高く評価したい。
作曲家オルフが認めた演奏であり、ヨッフム自身が同曲の初演者であるということもあるが、それだけでなく、やはり演奏自体が非常に優れている。
同曲は、紛れもないドイツ音楽であるが、ヨッフムの演奏は、同曲をドイツ音楽であることをあらためて認識させてくれるのが何よりも素晴らしい。
同曲は、華麗な合唱やオーケストレーションを誇る楽曲であることから、最近ではそうした華麗さに焦点を当てた演奏が数多くなされているように思うが(それも、魅力的ではある)、ヨッフムの演奏は、外面的な華麗さよりは、ドイツ音楽ならではの質実剛健さを基調としている。
したがって、全体の造型の堅固さには際立ったものがあるが、それでいてヨッフムは、これ以上は求め得ないようなドラマティックな演奏を展開しており、その畳み掛けていくような気迫と力強い生命力は、圧倒的な迫力を誇っている。
あたかも壮大なドイツ・オペラを鑑賞しているような趣きがあり、そのスケールは雄渾の極みである。
歌手陣も優秀であり、特に、ソプラノのヤノヴィッツとバリトンのフィッシャー=ディースカウの歌唱は秀逸である。
このうち、フィッシャー=ディースカウの歌唱は巧すぎるとさえ言えるが、これだけ堪能させてくれれば文句は言えまい。
ベルリン・ドイツ・オペラ合唱団やシェーネベルク少年合唱団も最高のパフォーマンスを示している。」
演奏評については、現在でもこれに付け加えることは何もないが、本盤で素晴らしいのはシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD化によって、およそ信じ難いような鮮明な高音質に生まれ変わったことである。
従来CD盤では、各合唱が一部混濁して聴こえたりしたものであるが、本盤では明瞭に分離して聴こえるところであり、オーケストラとの分離についても申し分がない。
マルチチャンネルが付いていないにもかかわらず、臨場感についても抜群のものがあり、おそらくは現在において望み得る最高の鮮明な超高音質である。
シングルレイヤーによるSACD&SHM−CD化により、ダイナミックレンジ、ボリュームそして音質の解像度が飛躍的に向上し、沸き立つばかりのリズムの躍動感、管弦楽と合唱のダイナミックな音楽に、思わず興奮させられるところであり、こうした大編成用の楽曲では十二分にその効果を発揮している。
いずれにしても、ヨッフムによる不朽の歴史的な超名演を、シングルレイヤーによる超高音質SACDで味わうことができることを大いに歓迎したい。
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