2015年02月18日

モントゥー&コンセルトヘボウのベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」、シューベルト:交響曲第8番「未完成」


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いずれも名演だ。

「エロイカ」は死の2年前、「未完成」は1年前の録音であり、モントゥーの最晩年の演奏ということになるが、気力が充実していて、老いを感じさせない。

全体としては音楽のスケールが大きく、懐が深く、やや速めのテンポの中に、絶妙なニュアンスや表現が込められている。

これは、人生の辛酸を舐め尽くした巨匠だけが成し得る至芸と言うべきであり、その味わい深さは、他のどの演奏にも優るとも劣らない至高・至純の境地に達している。

「エロイカ」は、全体的にテンポが速いし、重々しくなるのを意識的に避けた感じがする。

むしろ、軽快ささえ感じさせるが、それでいて、随所に温かみのあるフレージングが支配しており、演奏全体に潤いを与えていることを忘れてはならない。

自在に変化するスフォルツァンドといい、強弱の妙といい、小気味よいリズムと心地よいテンポの揺らめきといい、モントゥーが指揮する至高の「エロイカ」である。

この演奏には力んだり、人を驚かすところは一切ないが、第1楽章での威風堂々たる風格、葬送行進曲の哀愁とそこはかとなく感じさせる滋味など、曲に合致したイデーも余すところなく表出しており、しかもオーケストラの演奏力、音色の美しさも万全である。

モントゥーのベートーヴェン演奏には、今ではあまり聴けない、旧き佳き時代のあたたかみがある(しかし、決して古臭くない)。

第1楽章の終結部のトランペットも楽譜どおりであるが、それでも弱々しさを感じさせないのは、この演奏が、威容と崇高さを湛えている証左であると考える。

終楽章のホルンの朗々たる吹奏は、他のどの演奏にも負けないぐらいの力強さであり、演奏全体の制度設計の巧さもさすがと言うべきであろう。

コンセルトヘボウ・アムステルダムの芳醇な響きと両翼配置の効果もあってか、重層的に書かれた副旋律が見事に絡み合い、構造が浮き彫りになっている演奏である。

ベートーヴェンが推敲に推敲を重ね、目指したであろう、ドラマと音響構造の両立がここまで昇華された演奏は他では聴けない。

「未完成」は、テンポ設定が緩急自在であり、その絶妙さは他のどの演奏よりも優れている。

第1楽章では、第1主題を速めに、第2主題をややゆったりとしたテンポ設定としているが、その効果は抜群で、いい意味でのメリハリの効いた名演奏に仕上がっている。

第2楽章は、全体としたゆったりとしたテンポで進行させ、白眉の名旋律を徹底して歌い抜いているのが素晴らしい。

これは、あたかも、モントゥーの輝かしい人生の最後のゴールを祝福するような趣きさえ感じさせて、実に感動的だ。

心して傾聴に値する名演、名録音である。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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