2015年02月22日

テンシュテットのマーラー:交響曲「大地の歌」


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既に多くのひとに語り尽くされている本盤であるが、それでも誰かに、この演奏の素晴らしさを伝えたくなる稀有の名盤であり、ちょうどテンシュテットが咽頭がんに倒れる直前の録音である。

当初は、全集の中に組み込まれる予定であったが、本演奏の中に、テンシュテットがどうしても取り直しをしたい箇所があったということで、当初発売の全集には組み込まれなかったいう曰くつきの演奏である。

全集の発売後、数年経ってから漸く発売されたが、マーラーの音楽が持つ美しさ、翳り、悲しみ、すべてを徹底的に追求したテンシュテットならではの表現による素晴らしい名演だ。

その深い表現はいつまでも色褪せることなく永遠の光を放っていると言えるところであり、まさにマーラー演奏の1つの規範になりうる、20世紀の偉大な録音と言えるだろう。

テンシュテットが取り直しをしたかどうかは、筆者は承知していないが、そのようなことはいささかも気にならないような見事な出来栄えと言えるところであり、救いのない悲壮感にあふれている。

演奏はこの曲で最も暗く沈鬱で救いのないような演奏で、作曲家がワルターに「この曲を聴いたら自殺者が出るのではないだろうか」と話していたそうだが、まさにこのような演奏が作曲家が考えていたものなのではと考えてしまうくらいテンシュテットの演奏は破滅的で、絶望的な悲愴感が漂った演奏である。

思い切った強弱の変化やテンポ設定、時折垣間見せるアッチェレランドなど、とてもスタジオ録音とは思えないようなドラマティックな表現を行っている。

テンシュテットは、咽頭がんに倒れて以降は、コンサートや録音の機会が著しく減ったが、本盤のような爆演を聴いていると、病に倒れる前であっても、1つ1つの演奏や録音に、いかに命懸けの熱演を行っていたのかがよくわかる。

テンシュテットの語り口も相変わらず素晴らしく、なかでも終楽章の「告別」では、夜の闇がまさに死を思わせるような世界が作り上げられており、ゾッとしてしまう。

特に「告別」後半の長いオーケストラの間奏部分は、前人未到の境地と言ってよいであろう。

ロンドン・フィルも、こうしたテンシュテットの鬼気迫る指揮に、よくついて行っており、独唱のバルツァやケーニッヒともども、望み得る最高のパフォーマンスを示していると言っても過言ではあるまい。

『大地の歌』といえば、クレンペラーやワルターの演奏が有名であるが、これは全く別方向からのアプローチであり、持っていて損はない。

そう何度も聴けるような演奏ではないが、それだけテンシュテットの個性の表れた名演と言えるだろう。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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