2015年02月25日

リヒテルのシューベルト:さすらい人幻想曲、ピアノ・ソナタ第13番


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卓越した構成力と驚異的な集中力、巨匠リヒテル壮年期の名盤。

発売当初から名盤として広く評価されてきたもので、この演奏を聴きながら、本物のリヒテルってどんな演奏なんだろう、と心を躍らせたものだった。

前へ前へと進むダイナミックな推進力にあふれたさすらい人幻想曲、シューベルトの音楽のロマンが美しく歌われてゆくピアノ・ソナタ第13番、いずれもリヒテルのピアノは聴き応えがある。

さすらい人幻想曲の名演についてはもう何も言う必要はなく、仏ACCディスク大賞受賞したもので、この曲の代表的な録音のひとつ。

シューベルトの名作2曲をリヒテルは卓越した構成力と驚異的な集中力で弾き切っている。

ともに緊迫感が漲り、スケール雄大な中にも豊かな情感を漂わせた名演で、録音以来40余年を経た今日でもベストに推される素晴らしい名盤である。

奥深いロマンティシズムに彩られたシューベルトだが、晩年の演奏より強い緊張感がある。

何よりも素晴らしいのは、壮年期のリヒテルの表現力の幅の広さであろう。

強靭な打鍵から、シューベルト特有の寂寥感溢れる繊細な抒情に至るまで、思い切った強弱や、テンポ設定の変化を駆使して、見事な演奏を成し遂げている。

これだけの様々な技巧を駆使しながらも、音楽がいささかも小さくはならず、スケールの雄大さを損なうことがないのは驚異的ですらある。

特に、ピアノソナタ第13番イ長調は、最晩年の傑作ピアノソナタである第20番と比較して、小イ長調と称されているが、リヒテルの第13番は、後年の第20番にも匹敵するようなスケール雄大な名演に仕上げている。

第13番には、内田光子や、古くはリリー・クラウスの名演もあるが、リヒテルの名演は、これらの名演にも十分に匹敵する深い内容を兼ね備えていると高く評価したい。

一番の魅力を感じたのは、ピアノ・ソナタ第13番の第2楽章のゆったりとした美しいメロディーが、リヒテルの澄んだピアノの音に乗って奏でられてゆくところの、どこまでも深く沈んでいく叙情感で、ファンタスティックな夢の風景のようなピアノの調べが、素敵である。

穏やかに微笑む第1楽章もいいし、最終楽章の柔らかなリズムと豪快さがまた素晴らしい。

次に印象に残ったのが、さすらい人幻想曲の終楽章のピアノで、躍動感みなぎる演奏に、リヒテル壮年期の活力があふれていて、聴いていてワクワクしてきた。

本盤の録音は1963年で、西側へ衝撃のデビューを果たし、欧米を席巻していた頃の録音。

つまり、リヒテルが鉄のカーテンの向こうから登場して間もない頃の録音であるが、当時の西側諸国がリヒテルから受けた衝撃の強さが、本盤を聴いているとよくわかる。

録音が古いために、従来盤では、リヒテルの透徹したタッチを鮮明に味わうことがやや困難な面があったが、HQCD化によって、相当程度、音質が鮮明になったのを大いに歓迎したい。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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