2023年02月28日

鉄壁のアンサンブルをベースℹ️圧倒的な迫力と繊細な抒情🥺ムラヴィンスキー&レニングラード・フィル🪆ベートーヴェン:交響曲第4番🗾(1973年来日公演)


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ムラヴィンスキー初来日時(1973年)の衝撃のライヴ録音で、異常とも言える緊迫感で演奏した貴重な記録である。

ムラヴィンスキーの初来日公演は、日本の音楽関係者に大きな衝撃を与え、特にベートーヴェン「第4」での非ドイツ的アプローチによる凄まじい演奏は語り草になっている。

本盤のベートーヴェン「第4」は、ムラヴィンスキー&レニングラード・フィルの黄金コンビの凄まじさを存分に味わうことが出来る超名演と高く評価したい。

ムラヴィンスキーのCDは、DGにスタジオ録音したチャイコフスキーの後期3大交響曲を除くと、録音状態が芳しくないのが難点であった。

本盤は信じられないような鮮明な音質であり、これにより、ムラヴィンスキーの透徹したアプローチを存分に味わうことが出来るようになったのは、実に幸運の極みと言える。

この録音は以前ロシアン・ディスクから粗悪な音質でCD化されていたが、今回はNHKに保管されていたマスター・テープを使用し、入念なデジタル・リマスタリングを施した結果、ムラヴィンスキーの全CD中屈指と言える鮮明な音質に仕上がった。

ムラヴィンスキーのベートーヴェン「第4」は、理論的な音楽の造形が明快で、ここまでくると気持ちいい。

第1楽章の冒頭のややゆったりとした序奏部を経ると、終楽章に至るまで疾風の如きハイテンポで疾走する。

ここはテヌートをかけた方がいいと思われる箇所も素っ気なく演奏するなど、全くといいほど飾り気のない演奏であるが、どの箇所をとっても絶妙な繊細なニュアンスに満ち満ちている。

切れ味鋭いアタックも衝撃的であり、ムラヴィンスキーによって鍛え抜かれたレニングラード・フィルの鉄壁のアンサンブルも驚異の一言である。

各奏者とも抜群の巧さを披露しているが、特に、終楽章のファゴットの快速のタンギングの完璧な吹奏は、空前絶後の凄まじさだ。

同様のタイプの演奏としてクライバーの名演(バイエルン国立管弦楽団とのライヴ録音(オルフェオのSACD盤))もあるが、内容の彫りの深さにおいて、ムラヴィンスキーには到底太刀打ちできるものではないと思われる。

アンコールの2曲は、この黄金コンビの自家薬籠中の曲だけに、全く隙のないアンサンブルを披露しており、そうした鉄壁のアンサンブルをベースとした圧倒的な迫力と繊細な抒情が見事にマッチングした超名演だ。

このCDの価値を高めているのは、NHKによる良心的な録音、及びアルトゥスによる優れたリマスタリングにもよる。

会場ノイズを除去しすぎることもなく、徒らな効果も狙うこともなく、きわめて真っ当な音で勝負してくれたのが、何よりありがたい。

このような中で、今般、待望のシングルレイヤーによるSACD化がなされるに及んで大変驚いた。

音質の鮮明さ、そして音場の幅広さ、音圧などのどれをとっても一級品の仕上がりであり、あらためてSACD盤の潜在能力の高さを思い知った次第である。

まさにムラヴィンスキーの芸術を知る上で欠く事のできない名SACDの登場と言えるだろう。

いずれにしても、ムラヴィンスキーによる圧倒的な超名演を現在望みうる最高の高音質SACDで味わうことができるのを大いに喜びたい。

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classicalmusic at 23:07コメント(2)ムラヴィンスキー | ベートーヴェン 

コメント一覧

1. Posted by 小島晶二   2023年03月01日 06:57
5 底知れぬ透徹感!ムラヴィンスキー&レニングラードフィルコンビによる最高のアンサンブルと言っても過言では無いでしょう。故宇野功芳氏の得意げな顔が想像できます。この演奏直前の本国でのライヴ盤より上質と思いますが,C. クライバーとバイエルン国立管弦楽団の情熱的なライヴ録音も私は高く評価しています。
2. Posted by 和田大貴   2023年03月01日 07:26
ムラヴィンスキーの来日公演はレニングラード・フィルの整然として精緻なオーケストラが印象的で、終楽章の弦楽とウィンド・セクションの素早い受け渡しやアンサンブルの正確さは流石にムラヴィンスキーに鍛え上げられただけのことはあります。しかし厳格な統制によってかえって音楽がいくらか冷たく聴こえて、より解放された情熱的なベートーヴェンを聴きたい向きには窮屈に感じる演奏かもしれません。クライバーは終始張り詰めた緊張と噴き上がるような生命力に満ち、驚くほど明晰な、そして生き生きとした音楽をつくっています。溌剌とした生命力あふれる内容で、勢いのある流動感のなかに、ベートーヴェンの音楽ならではの力強さが見事に生きています。オーケストラも驚異的な精度とアンサンブルをもち、クライバーの解釈もユニークです。無修正のライヴ録音のため、音そのものが灼熱しています。フィナーレなど恐るべきテンポです。いずれも力感に満ち、「ギリシャの乙女」を見るつもりで聴くと、度肝を抜かれるような激しさをもっているので、誰しもが驚くことでしょう。それまで優美な曲といわれていたこの作品を、根本からくつがえすような、圧倒的な迫力のライヴ録音です。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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