2015年03月03日

ケンプ&ライトナーのベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集


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ドイツ人ピアニストの巨匠ケンプによるベートーヴェンのピアノ協奏曲全集としては、これまで2つのスタジオ録音が知られていたところだ。

最初の録音は、ケンペン&ベルリン・フィルとともに行った演奏(1953年)であり、2度目の録音は、ライトナー&ベルリン・フィルとの演奏(1961年)である。

このうち、最初のものはモノラル録音であることから、ケンプによるベートーヴェンのピアノ協奏曲全集の代表盤としては、ライトナー&ベルリン・フィルとともに行った演奏を掲げるのが一般的であると考えられるところだ。

そのような中で、新盤が何故か廃盤となり、長らくカタログから消えていたが、今般再発売される運びとなったのは多くのクラシック音楽ファンにとって何と言う幸せなことであろうか。

演奏は1961年ものであり、ケンプが66歳という最円熟期時のものである。

いずれの楽曲も至高の名演と高く評価したい。

ベートーヴェンのピアノ協奏曲全集の録音は現在でもかなり数多く存在しており、とりわけテクニックなどにおいては本全集よりも優れたものが多数あるとも言える。

ケンプによる録音に限ってみても、前述の旧録音の方が、テクニックに関しては断然上にあると言えるが、演奏の持つ味わい深さにおいては、本演奏がダントツであると言えるのではないだろうか。

本全集におけるケンプによるピアノ演奏は、例によっていささかも奇を衒うことがない誠実そのものと言える。

ドイツ人ピアニストならではの重厚さも健在であり、全体の造型は極めて堅固である。

また、これらの楽曲を熟知していることに去来する安定感には抜群のものがあり、その穏やかな語り口は朴訥ささえ感じさせるほどだ。

しかしながら、一聴すると何でもないような演奏の各フレーズの端々から漂ってくる滋味に溢れる温かみには抗し難い魅力があると言えるところであり、これは人生の辛酸を舐め尽くした最晩年の巨匠ケンプだけが成し得た圧巻の至芸と言えるだろう。

なお、同時期に活躍していた同じドイツ人ピアニストとしてバックハウスが存在し、かつては我が国でも両者の演奏の優劣についての論争が繰り広げられたものであった。

現在では、とある影響力の大きい某音楽評論家による酷評によって、ケンプの演奏はバックハウスを引き合いに著しく貶められているところである。

確かに、某音楽評論家が激賞するバックハウスによるベートーヴェンのピアノ協奏曲の演奏も素晴らしい名演であり、筆者としてもたまに聴くと深い感動を覚えるのであるが、体調が悪いとあのような峻厳な演奏に聴き疲れすることがあるのも事実である。

これに対して、ケンプの演奏にはそのようなことはなく、どのような体調であっても、安心して音楽そのものの魅力を味わうことができる。

筆者としては、ケンプの滋味豊かな演奏を聴衆への媚びと決めつけ、厳しさだけが芸術を体現するという某音楽評論家の偏向的な見解には到底賛成し兼ねるところである。

ケンプによる名演もバックハウスによる名演もそれぞれに違った魅力があると言えるところであり、両者の演奏に優劣を付けること自体がナンセンスと考えるものである。

なお、本全集において、巨匠ケンプの至高のピアノ演奏を下支えしているのが、ライトナー&ベルリン・フィルであるが、ケンプのピアノ演奏に触発されたせいか、ドイツ風の重厚さにもいささかも不足がない名演奏を繰り広げていると高く評価したい。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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