2015年05月27日
N・ヤルヴィ&ベルゲン・フィルのスヴェンセン:管弦楽作品集-2
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ハルヴォルセンの管弦楽作品集が遂に完結を迎えるなど、盛り上がりを見せるエストニアの巨匠ネーメ・ヤルヴィとベルゲン・フィルの「ノルディック・プロジェクト」。
盟友グリーグと共にノルウェー・ロマンティシズムを確立し、2つの交響曲で北欧、ノルウェーのシンフォニストとして大きな成功を収めたスヴェンセン。
「ノルウェー」というキーワードで結ばれたトルルス・モルクが弾くチェロ協奏曲、ドイツ・ロマン派、ブラームス的なスタイルを感じさせながら、ノルウェーの民族的なリズムや旋律、抒情性が作品全体から湧き出る交響曲第2番。
ネーメ・ヤルヴィ&ベルゲン・フィルによるスヴェンセンの管弦楽作品集の第2弾の登場だ。
第1弾のレビューにも記したところであるが、ネーメ・ヤルヴィは録音当時75歳の高齢であり、近年では息子のパーヴォ・ヤルヴィの華々しい活躍の陰に隠れがちと言えなくもないが、それでも、果敢に新しいレパートリーの開拓に勤しむ飽くなき姿勢には、我々聴き手としてもただただ頭を下げざるを得ないところだ。
ネーメ・ヤルヴィに対しては、一部の評論家からは何でも屋のレッテルが貼られ、必ずしも芳しい評価がなされているとは言えないようであるが、祖国の作曲家であるトゥヴィンをはじめとして、ステンハンマルやアルヴェーン、そしてゲーゼやホルンボーなど、北欧の知られざる作曲家の傑作の数々を広く世に認知させてきた功績は高く評価しなければならないのではないかと思われるところである。
確かに、誰も録音を行っていない楽曲は別として、1つ1つの演奏に限ってみれば、より優れた演奏が他に存在している場合が多いとも言えるが、それでも水準以上の演奏には仕上がっていると言えるところであり、巷間言われているような粗製濫造にはいささかも陥っていないと言えるのではないだろうか。
本盤に収められたヨハン・スヴェンセンの管弦楽作品集の第2弾については、そもそもいずれの楽曲も輸入盤でしか手に入らないものだけに、まさにネーメ・ヤルヴィの独壇場。
筆者の所有CDで見ても、交響曲第2番については、ヤンソンス&オスロ・フィルによる名演(1987年)、その他の楽曲についてはアンデルセン&ベルゲン交響楽団による演奏(1988年)しか持ち合わせていない。
それ故、比較に値する演奏が稀少という意味において本演奏について公平な評価を下すことはなかなかに困難であるが、本演奏に虚心坦懐に耳を傾ける限りにおいては、いかにもネーメ・ヤルヴィならではの聴かせどころのツボを心得た語り口の巧さが光った名演奏と言うことができるところだ。
スヴェンセンは、グリーグとほぼ同時代に活躍した作曲家であるが、国外での活動が多かったこともあって、グリーグの作品ほどに民族色の濃さは感じられないと言える。
それでも、ネーメ・ヤルヴィは、各楽曲の曲想を明朗に描き出すとともに、巧みな表情づけを行うことによって、実に味わい深い演奏を行っていると言えるところであり、演奏全体に漂っている豊かな情感は、まさに北欧ノルウェーの音楽以外の何物でもないと言っても過言ではあるまい。
いずれにしても、本演奏は、第1弾と同様にスヴェンセンの知られざる名作の数々に光を当てることに大きく貢献した素晴らしい名演と高く評価したい。
今後は、スヴェンセンが作曲した2曲の交響曲のうちの第1番やヴァイオリン協奏曲なども録音がなされるのではないかとも考えられるが、続く第3弾にも大いに期待したいと考える。
音質は、従来CD盤ではあるが、十分に満足できる良好なものと評価したい。
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