2015年03月04日
ハイフェッツのブルッフ&ヴィエニャフスキ:ヴァイオリン協奏曲第2番[XRCD]
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20世紀最高のヴァイオリニストとして今も人気の高いハイフェッツ全盛期の超絶的な技量を味わうことが可能な素晴らしい名演だ。
同時代に圧倒的な技量を誇ったピアニストにホロヴィッツがいるが、ホロヴィッツが卓越した技量が芸術を超える稀有のピアニストであったのと同様に、ハイフェッツも、卓越した技量が芸術を超える稀有のヴァイオリニストであったと言える。
本盤には、ともにサラサーテに献呈された、ブルッフのヴァイオリン協奏曲第2番というきわめてマイナーな作品と、多くのヴィルトゥオーゾヴァイオリニストによって演奏されてきたヴィエニャフスキのヴァイオリン協奏曲第2番が収められている。
30曲近いヴァイオリン協奏曲を完全に暗譜し、いつでも弾けるレパートリーとしていたハイフェッツはその多くを録音したことでも抜きん出ていた音楽家でもあった。
このうち、ブルッフのヴァイオリン協奏曲第2番については、第1番があまりにも有名であるため、美しいメロディに満ち溢れた魅力作であるにもかかわらず、殆ど演奏されることはない作品である。
しかしながら、ハイフェッツの超絶的な技量は、この不人気な知られざる名作に光を当て、実に魅力溢れる作品に仕立て上げるのに大きく貢献している。
オペラ・アリアのような美しきメロディが曲全体を包み込み、ハイフェッツ節が炸裂する。
その仄暗いロマンティシズムが少々感覚に重たいブルッフ作品も、ハイフェッツの手にかかると切れ味鋭く凛と張りつめて、キリっと引き締まる。
これだけの卓越した技量を披露しているにもかかわらず、技巧臭がいささかもせず、音楽の素晴らしさ、魅力だけが聴き手に伝わってくるというのは、まさに、前述のような卓越した技量が芸術を超える稀有のヴァイオリニストの面目躍如と言ったところであろう。
他方、ヴィエニャフスキのヴァイオリン協奏曲第2番は、弾きこなすのにかなりの卓抜した技量を要する作品だけに、まさしくハイフェッツの独壇場。
その唖然とするほどの超絶的なテクニックは、とても人間業とは思えないような凄みがあり、ハイフェッツにしか表現しえない唯一無二の名演と高く評価したい。
ハイフェッツによる本盤の演奏は、持ち前の超絶的な技量を駆使することのみによって、両曲の内容面をも含めた魅力を描出し得た稀有の演奏と言えるのではないだろうか。
一昔前の名技性が意外に新鮮な、数多くある名演とは一線を画し、聴き返すたびに深みを増す、すこぶる付き快演と言えよう。
本盤で、さらに素晴らしいのはXRCDによる極上の高音質である。
今から半世紀以上も前のモノラル録音であるにもかかわらず、ハイフェッツのヴァイオリンの弓使いまでが鮮明に聴こえるというのは殆ど驚異的ですらある。
あらためて、XRCDの潜在能力の大きさを思い知った次第であるが、いずれにしても、ハイフェッツの人間離れした軽快で重厚なヴァイオリン演奏を、XRCDによる高音質で味わうことができるのを大いに歓迎したい。
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