2015年03月09日

スーク・トリオのチャイコフスキー:ピアノ三重奏曲<ある偉大な芸術家の思い出のために>


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チェコを代表する名手によって構成されるスーク・トリオによる円熟の名演である。

スーク・トリオによるチャイコフスキーの2度目の録音で、ピアノは名手パネンカ。

チェコの至宝として年輪を刻み、練り上げられたアンサンブルが奏でるスラヴの魂に脱帽してしまう。

パネンカ、スーク、フッフロといった3人の名手それぞれが最高のヴィルトゥオジティをもち、円熟を極めたころの名録音である。

ロシア・ピアノ音楽史上の巨星ニコライ・ルービンシュテインの死を悼んで書かれた、ロシアの大地を思わせる雄大なこの三重奏曲は、よほどアンサンブルがしっかりしていないと45分もの長丁場をもたせることは至難の業だ。

スーク・トリオは、各自の表現力のすべてをぶつけ合って、緊迫感あふれるスリリングで感動的な名演を聴かせる。

この曲は、チャイコフスキーが、偉大なピアニストであったニコライ・ルービンシュテインを偲んで作曲したため、ピアノ・パートが大変雄弁なものとなっているとも言われるが、スーク・トリオは室内楽としての息の合ったアンサンブルを磨きあげながらも、ピアニストのパネンカが素晴らしいヴィルトゥジティも発揮している。

彼らメンバー3人は夫々職人的名手で、派手なパフォーマンス抜きにチャイコフスキーの友人ピアニスト ニコライ・ルービンシュタインの死を悼む気持ちに落ちつき払いじんわりと、しかし一面烈しい共感性を表わした演奏を展開しており、素晴らしい名盤となっている。

スーク・トリオのアプローチは、何か個性的な解釈によって聴き手を驚かすような奇作を用いることはいささかもなく、どこまでも自然体のアプローチによって、チャイコフスキーの傑作ピアノ三重奏曲の魅力をダイレクトに聴き手に伝えてくれる点を高く評価したい。

もちろん、自然体と言っても、決して生ぬるいものではなく、各奏者の圧倒的な技量をベースとして、息の合った絶妙なアンサンブルの下、硬軟併せ持つ、いい意味でのバランスのとれた演奏を繰り広げている。

スーク・トリオによる演奏は、虚飾の無い、淡々とした演奏で、聴く者への媚びがなく、昨今の所謂スタープレイヤー共演の様な派手派手しいパフォーマンスとは無縁のボヘミア楽派の落ち着きが、チャイコフスキーの友人ピアニスト、ニコライ・ルービンシュテインの死を悼む気持ちに共感を増してくれる。

テンポはやや遅めであるが、1音1音丁寧に弾いていることが大きな特徴で、溢れ出る歌の美しさ、深い呼吸、綾なすヴィルトゥオジティ、同曲の必聴盤という評価は不変であろう。

第1楽章の哀切の音楽についても、チープなセンチメンタルには決して陥ることなく、高踏的な美しさを湛えている点が素晴らしい。

第2楽章の終結部の劇的で、力強い表現は、作曲者の心底を抉り出すような鋭さが支配している。

いずれにしても、本盤は、スーク・トリオを代表する名演であるとともに、チャイコフスキーの傑作ピアノ三重奏曲の数々の名演の中でも、かなり上位に位置づけられる理想的な名演と評価したい。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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