2015年03月08日

マーツァル&チェコ・フィルのチャイコフスキー:マンフレッド交響曲[SACD]


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名門チェコ・フィルに新時代の到来を告げるチャイコフスキーで、復活の狼煙を上げたのは、長い亡命生活の末祖国に帰り音楽監督に就任したマーツァル。

既にチャイコフスキーの番号付きの交響曲をすべて録音したマーツァルが、マンフレッド交響曲を録音したのは大変素晴らしいことであると思う。

番号付きの交響曲、特に、後期3大交響曲と比較すると、マンフレッド交響曲の録音点数はあまりにも低いし、チャイコフスキーの交響曲全集を録音した指揮者でも、このマンフレッド交響曲の録音をしない者が多く、作品の質の高さを考慮すれば大変残念なことである。

豊潤な音の流れに身を任せる快感とチャイコフスキーらしいメロディや楽器用法の仕掛けの数々は聴くほどに魅力的だ。

組曲と共にチャイコフスキーの作品の中ではディスクが少ないだけあって、大いに存在意義のある1枚と言うことができよう。

最近では、輸入盤ではあるが、ロシア風の民族色の濃いキタエンコによる名演が発売されたが、本盤のマーツァルの演奏は、それとは対照的な純音楽的な名演と言うことができる。

かと言ってマーツァルの演奏は、表面を整え洗練を求める現代の時流とは多分に異なっており、演奏は常に熱っぽく、その表現は素朴である。

マーツァルは、チャイコフスキーの他の交響曲や、マーラーの交響曲でもそうであるが、オーケストラを無理なく鳴らし、いわゆる良い意味でのオーソドックスな解釈を行っている。

マーツァルの音楽のテンションの高さは、少し前のめり気味のビートからもわかるだろう。

巨匠風の音楽を作るならもう少しゆったりとした間をとってもいいところでも、マーツァルはそんなことにかまわない。

随所に甘美なメロディが現れるが、そんなところでもマーツァルは、洗練よりも、自然な表現を好む。

大見得を切ったり、思わせぶりに歌ったりせず、音楽を前へ進めていき、そこからは、テンポの速さ遅さ以上に作品へのマーツァルの気持ちの強さが伝わってくる。

したがって、チャイコフスキーの傑作交響曲の魅力をダイレクトに味わうことができるのが最大の長所ということができる。

今回もこれまで同様に見事なバランス感覚と見事な読解能力によって、隅々まで構築された各楽章は必聴である。

同曲に、ロシア風のあくの強さを求める聴き手からすると、いささか物足りなさを感じさせるかもしれないが、これだけ楽曲の魅力を美しく、そしてストレートに表現してくれれば文句は言えまい。

チェコ・フィルも最高のパフォーマンスを示しており、チェコ・フィル独自の歌心とあたたかな音色がブレンドして、巨大な交響曲をさらに立体的に作り上げている。

緊密なアンサンブルからは腰を据えた厳しい練習の跡が窺えるが、土の薫りと現代感覚がほどよくブレンドされた佳演である。

マーツァルの素朴な音楽性は、チェコ・フィルだからこそ生かされているところが多いように思う。

SACDによる高音質録音も本盤の魅力の1つで、音質の鮮明さ、そして音場の幅広さ、音圧などのどれをとっても一級品の仕上がりであり、あらためてSACD盤の潜在能力の高さを思い知った次第である。

いずれにしても、マーツァル&チェコ・フィルによる美演を現在望みうる最高の高音質SACDで味わうことができるのを大いに歓迎したい。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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