2015年03月15日

フルトヴェングラー&ベルリン・フィルのベートーヴェン:交響曲第4番、「コリオラン」序曲(1943年ライヴ)


この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。



「第4」の表現はきわめてフルトヴェングラー色が濃く、まことにデモーニッシュの極みと言えよう。

第1楽章の導入部からして、他の指揮者とはまるで違う雰囲気にあふれ、特に目立つのはチェロとバスの動きを強く生かした点であろう。

導入部が終わりに近づくと、いよいよ来るべきものを予感させるようなリタルダンドが掛かり、猛烈なクレッシェンドとテヌート、および狂気じみたティンパニの強打が、ものものしくもドラマティックな効果を上げる。

まさにフルトヴェングラーならではというところだ。

主部のアレグロ・ヴィヴァーチェは遅いテンポで始まるが、次第にアッチェレランドし、相変わらずティンパニを強打しつつ、スピード感と気迫に満ちた進行を示す。

第2主題の木管の掛け合いではテンポを大きく落とし、一息つきながら美しく歌わせるが、確かにここで遅くするのは曲想にぴったり合致しており、フルトヴェングラー・ファンを泣かせる原因ではあるものの、彼の表現が大好きな筆者でさえ、いささかの疑問を感じないではない。

それは1つには「第4」という音楽がこれほど大きな起伏を必要とする曲かどうか、という問題にも関わってくるのである。

ベートーヴェンの「第1」「第2」「第4」などを、ハイドンやモーツァルトの延長として、こぢんまりと指揮することには反対である。

これはあくまでもベートーヴェンだからだ。

しかし、これら3曲が、「エロイカ」「第5」「第7」「第9」などと違うのもまた事実である。

内容はともかくとしても、規模が異なる。

したがって、こぢんまりとさせてはいけないが、そこに自ずから限度が出てこよう。

ところが、フルトヴェングラーはそんなことには一切頓着しておらず、馬鹿でかいスケールとはちきれれるような内容をもって、世界の苦悩を一身に背負った表現を、誰はばかることなく行っているのだ。

これを戦時下という時代のせいにしてはならないであろうし、芸術の根本とは本来このようにあるべきなのだ。

「第4」の場合、確かに疑問は残るが、フルトヴェングラーにとって、これ以外に自分の生きる道はなく、妥協すれば彼も死に、ひいては音楽自体も死んでしまう。

だから正直に、感じた通り行うことだけが、芸術家としての彼の真実となり得るのである。

いかにもフルトヴェングラーらしいのは、展開部の終わり、弱音の部分で、これ以上テンポを落とせば止まってしまいそうに遅くしていることだが、実際に客席に居るならばともかく、CDで聴く限り、造型を崩し、いくぶん思わせぶりな感がするのは否めない。

しかしコーダはすばらしい迫力である。

第2楽章の遅いテンポと粘ったリズムも、フルトヴェングラー以外の何ものでもあるまい。

血が通った、有機的な表現で、盛り上がりのスケール雄大な凄まじさなど見事だが、部分的にかなりもたれ、ついてゆけない人も多いことだろう。

スケルツォも構えの大きさと気迫の烈しさにおいて際立っているが、絶品というべきはフィナーレである。

速めのテンポと推進するリズムから、物凄いエネルギーが噴出し、旋律は思い切って歌われる。

あたかもひた寄せる大奔流のようで、コーダに入る前の、人間業とも思えぬスフォルツァンドと凄絶な和音の生かし方が、「第4」全体を見事に締めくくる。

第1、第2の両楽章は、フルトヴェングラーのレコードの中で、造型面においてベストとは言えないと思うが、このフィナーレだけは最高の出来映えと絶賛されよう。

一方、「コリオラン」序曲は、フルトヴェングラーの劇的表現がぴたりとはまり、彼の数多いディスクの中でも最高の出来映えの1つであろう。

その異常な緊張感と鬼気迫るような迫力、ドラマティックな訴えは見事で、ことに冒頭とコーダにおけるティンパニの最強打が凄まじい。

第2主題のテンポの落とし方も効いており、ことにコーダにおけるそれは、哀しい音色といい、ピアニッシモの生かし方といい、後ろ髪を引かれるような、おずおずとした運びが何とも言えない。

最近はこの第2主題でテンポを落とさない指揮者が増えてきたが、それではこのテーマの意味は生かし得ないだろう。

ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング



フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室



classicalmusic at 22:31コメント(0)トラックバック(0)ベートーヴェン | フルトヴェングラー 

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
メルマガ登録・解除
 

Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

Categories
Archives
Recent Comments
記事検索
  • ライブドアブログ