2015年08月23日
ルービンシュタイン・ショパン・オリジナル・ジャケット・コレクション
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ルービンシュタイン(Artur Rubinstein:1887-1982)がRCAに録音したショパンを集大成したアルバムで、オリジナル・ジャケットに収められている。
いずれの楽曲もルービンシュタインならではの素晴らしい名演と高く評価したいと考える。
ルービンシュタインはバッハからラヴェル、ラフマニノフまで幅広いレパートリーを持つポーランド生まれの大ピアニストで、特にショパンについては戦後世界最高の演奏家として君臨していた。
ルービンシュタインのショパンはスケルツォやポロネーズに見られるようなダイナミックな演奏からノクターン、マズルカに見られるような叙情的な演奏まで、ショパンの多彩な世界を変幻自在に表現し聴き手を楽しませてくれる稀有のピアニストであった。
古今東西の数多くのピアニストの中でも、ショパン弾きとして名を馳せた者は数多く存在しているが、その中でも最も安心してその演奏を味わうことができるのは、ルービンシュタインを置いて他にはいないのではないだろうか。
というのも、他のピアニストだと、古くはコルトーにしても、ホロヴィッツにしても、フランソワにしても、演奏自体は素晴らしい名演ではあるが、ショパンの楽曲の魅力よりもピアニストの個性を感じてしまうからである。
もちろん、そのように断言したからと言って、ルービンシュタインが没個性的などと言うつもりは毛頭ない。
ルービンシュタインにも、卓越したテクニックをベースとしつつ、豊かな音楽性や大家としての風格などが備わっており、そのスケールの雄渾さにおいては、他のピアニストの追随を許さないものがあると言えるだろう。
そして、ルービンシュタインのショパンが素晴らしいのは、ショパンと同じポーランド人であるということやショパンへの深い愛着に起因すると考えられるが、ルービンシュタイン自身がショパンと同化していると言えるのではないだろうか。
ショパンの音楽そのものがルービンシュタインの血となり肉となっているような趣きがあるとさえ言える。
何か特別な個性を発揮したり解釈を施さなくても、ごく自然にピアノを弾くだけで立派なショパンの音楽の名演に繋がると言えるところであり、ここにルービンシュタインの演奏の魅力がある。
確かに現代に生きる私達にはルービンシュタイン以上にスマートで、目の醒めるような鮮やかな演奏が当たり前になっているが、彼の一種冒し難いまでの風格や情緒と、洗練された中にも彼らの祖国ポーランドの民族的な郷愁を漂わせた特有の佇まいは、代え難い魅力に溢れている。
本盤に収められたいずれの楽曲も、そうしたルービンシュタインならではの情感豊かでスケール雄大な名演で、一見あっさりした表現に隠された筋の通った解釈には真似のできない深みがある。
ここでは聴き手を圧倒するような演奏は見られず、彼の実演やライヴを聴いている人にはやや物足りないかもしれないが、非常に安定した大家の貫禄に満ちた味わい深い演奏と言えるだろう。
もちろん、これらの楽曲には、様々な個性的な名演が多く存在してはいるが、楽曲の魅力を安定した気持ちで味わうことができるという意味においては、本盤の演奏の右に出る演奏は皆無であると言えるのではないだろうか。
また、演奏全体を貫いている格調の高さは比類がなく、これぞまさしく大人(たいじん)の至芸と言えるだろう。
録音がやや古いとはいうもののショパン・コレクションとしては現在でも最高の演奏ということができよう。
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コメント一覧
1. Posted by くまごろう 2017年02月22日 23:41

私も、ルービンシュタイン素晴らしいと思いました。とても気に入りましたよ。
ありがとうございます。
2. Posted by 和田 2017年02月23日 22:43
くまごろうさん、コメントありがとうございます。
ショパンに関してはルービンシュタインを選べば殆ど間違いがないと言えますが、練習曲と前奏曲をステレオ録音していないので、練習曲はポリーニ、前奏曲はポゴレリチをお薦めします。
ショパンに関してはルービンシュタインを選べば殆ど間違いがないと言えますが、練習曲と前奏曲をステレオ録音していないので、練習曲はポリーニ、前奏曲はポゴレリチをお薦めします。
3. Posted by くまごろう 2017年03月09日 22:06
前奏曲、ポゴレリチですね。ゆっくり聴いてみます。教えていただきありがとうございます!ショパンもまた、たくさんのピアニストが弾いていて、聴いても聴いても終わりません( ̄∇ ̄)
今のところ、全曲聴いて私が気に入ったのは、ウラディーミル・アシュケナージです。まだ色々聴いて、次はバッハのピアノ曲に行ってみようと思います♫
今のところ、全曲聴いて私が気に入ったのは、ウラディーミル・アシュケナージです。まだ色々聴いて、次はバッハのピアノ曲に行ってみようと思います♫
4. Posted by 和田 2017年03月09日 22:25
私もアシュケナージのショパンをよく取り出して聴いています。全集を出しているので、それぞれの楽曲については、アシュケナージ盤を求めれば、最上のショパンコレクションが出来上がると思います。
バッハについては言うまでもなくグレン・グールドでしょう!
バッハについては言うまでもなくグレン・グールドでしょう!