2015年03月22日

カラヤン&ウィーン・フィルのブラームス:交響曲第1番、悲劇的序曲


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ブラームスの「第1」はカラヤンの名刺代わりの作品であった。

頭に思い浮かぶだけでも、ベルリン・フィルとの3種のスタジオ録音、先般相次いで発売された最後の来日時、死の前年のロンドンでの両ライヴ録音など、まだまだ数多くあるような気がする。

カラヤン得意の曲だけにいずれ劣らぬ名演揃いであるが、いずれも手兵のベルリン・フィルとの録音。

他方、本盤は古き良き時代のウィーンならではの芸術的な香りが残っていた1950年代のウィーン・フィルとのスタジオ録音、しかも、鮮明な英デッカのステレオによる名録音というだけで、他の盤とは異なった大きな存在価値がある。

当時、ベルリン・フィルとウィーン国立歌劇場を手中に収め、文字通り楽壇の帝王への道を突き進んでいたカラヤンの壮年期の生命力溢れる圧倒的な指揮ぶりが、これまた全盛期のウィーン・フィルの美演と見事に融合し、重厚さと優美さといういささか相反する要素を併せ持つ珠玉の名演となっている。

何よりも後年のベルリン・フィルとの諸録音には無い、黄金期ウィーン・フィルの輝かしく芳醇な音色が絶品だ。

特に第2、3楽章の濃厚妖艶なレガートと輝く弦楽の魅惑は、まだ素朴さを残した管も味があって最高である。

終楽章も明るく華麗に締め、ベルリン・フィルとの諸録音(特に1988年のロンドン・ライヴ)に聴かれる音響大洪水とはかけ離れているが、流麗華美でこれも魅力的。

いわゆるカラヤン臭が少なく、大家ぶったところもない、オケの思うまま、自由に演奏させているが締めるべきところは締めるといった演奏。

1959年の録音で、これから登り坂の壮年期のカラヤンの溌剌とした指揮とフルトヴェングラーの余韻が未だ残るウィーン・フィルのコラボが生んだ極上の名演と言えよう。

晩年、カラヤンはベルリン・フィルと決別して、ウィーン・フィルに回帰したが、そこには残念ながら、往時のカラヤンらしい抜群の切れはない。

しかし、この壮年期の演奏記録は別で、カラヤンが後にベルリン・フィルと録音したものと比べると、壮大さでは劣るかもしれないが、オケの音色の美しさは際立っているように思う。

驚くほど充実し、その音楽の<純度>、爽快な<迫力>には得難い魅力がある。

帝王カラヤンの最も充実した時期の記録であり、ウィーン・フィルは、このカリスマとの邂逅に、持てる力を出し切っている。

ベルリン・フィルの隙のない完璧な演奏スタイルとは異なり、ウイーン・フィルらしい流麗さ、時に統制を緩めたようなパッショネイトな表情もあり、生き生きと息づく音楽である。

カラヤンは、生涯にわたって大学祝典序曲を1度も録音しなかったが、他方、悲劇的序曲は晩年に至るまで幾度となく録音している。

本盤の演奏も、「第1」と同様の性格を有する流麗で幻想的、且つドラマティックな名演に仕上がっている。

壮年期のカラヤンの覇気が漲り、冒頭の2つの和音から一気に引き込まれるような推進力を持っている。

遅いテンポで濃厚ロマンティシズムが薫り立ち、ティンパニの激打と瞬発的金管強奏により、曲の持つ緊迫感とドラマを克明に打ち出した。

好みは分かれるかもしれないが、1970年代のカラヤン全盛期の録音よりもこの1959年録音の簡潔でバランスの取れた、絶妙の味わいの演奏を好む聴き手も少なくないだろう。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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