2015年08月17日
1970年代のカラヤンDG録音集
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1970年代と言えば、カラヤン&べルリン・フィルの全盛時代に相当する。
この1970年代にカラヤンはレパートリーの拡充に注力し、ヴィヴァルディからマーラー、ベルク、シェーンベルク、ウェーベルンまでを録音し、オルフの録音も忘れることはできないし、また国歌集までをも録音した。
本BOXには、カラヤン3度目のベートーヴェン交響曲全集、ブラームス・チャイコフスキー・メンデルスゾーン・シューマンの交響曲全集、モーツァルト後期交響曲集、ブルックナーとマーラーの交響曲集、新ウィーン楽派管弦楽曲集、さらにカルメン&アルルの女、ペール・ギュント&十字軍の兵士シーグル、ヴェルディ序曲・前奏曲全集、時の終わりの劇、プロイセン&オーストリア行進曲集、10代のムターを世界に紹介することとなったモーツァルトとベートーヴェンの協奏曲録音、そしてカラヤンにとっては非常に珍しいバロック録音(クリスマス協奏曲集)など、充実のレパートリーを収録。
1970年代のカラヤン&ベルリン・フィルの名録音を集大成し、加えてベートーヴェンの数字ジャケ、ブルックナーの翼ジャケ、マーラーの虹ジャケなどオリジナル紙ジャケット&オリジナルカップリングで再現された豪華BOXとなっている。
カラヤン&ベルリン・フィルという黄金コンビの全盛時代(1970年代)の演奏は、それは凄いものであった。
分厚い弦楽合奏、ブリリアントなブラスセクションの響き、桁外れのテクニックをベースに美音を振り撒く木管楽器群、そして雷鳴のように轟きわたるティンパニなどが、鉄壁のアンサンブルの下に融合し、およそ信じ難いような超絶的な名演奏の数々を繰り広げていた。
カラヤンは、このようなベルリン・フィルをしっかりと統率するとともに、ポルタメントやアッチェレランド、流れるようなレガートを施すことによっていわゆるカラヤンサウンドを醸成し、オーケストラ演奏の極致とも言うべき圧倒的な音のドラマを構築していた。
悪魔的とも言うべき金管楽器の鋭い音色や、温かみのある木管の音色、重厚な低弦の迫力、そして雷鳴のように轟くティンパニの凄さなど、黄金時代にあったベルリン・フィルの圧倒的な技量が、そうした劇的な要素を大いに後押ししている。
やはりこのように通して聴くことにより、今まで気づかなかったようなカラヤンの良さがあらためて発見できたところであり、録音後約40年経った今でも表現のダイナミックレンジの広さと隅ずみにまで行き届いた奇を衒わない創意に圧倒された。
今回は、日本の愛聴者が多いからの配慮であろうか、ブックレットに英語、ドイツ語に加え日本語の分厚い解説がついているのも嬉しい。
写真は案外少ないが、装丁もきれいで、内容的にはカラヤン時代のベルリン・フィルを支えたコントラバスのクラウス・シュトール氏の文章もありとても充実している(できればライナー・ツェペリッツ氏の言葉が聞きたいところであったが、今となっては不可能なのが残念)。
オペラを除くカラヤンのDG録音が単価200円で手に入るこの価格には驚きで、1枚1枚、解説を読み漁って大事な宝物のようにレコードを扱っていた30年前がウソのようである。
このBOXを持てば、クラシック音楽のレパートリーのうち重要なもののかなりの部分をほとんど決定盤と言っても良い最高の演奏で一網打尽にできるので、クラシック初心者には特にお薦めである。
1970年代に極められたカラヤン&ベルリン・フィルの極上の響きと流麗この上ない音楽は、確かに宇野功芳氏をはじめとして批判する人が多いのも分かる気もする。
しかし、亡くなった黒田恭一氏が「美しい音楽は、それが極まるとキラッと光って誰かを刺す」とカラヤンが亡くなった直後のレコード芸術の対談で語っていたが、それも至言である。
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