2023年03月24日

壮麗で哀愁を秘め🙏🏻祈りの心を込めて真摯に歌い上げ🪶隅々まで透徹した情感豊かで崇高な神秘性を引き出した⛪カラヤンのモーツァルト:レクイエム(新盤)🪷


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カラヤン最晩年(1986年)のモーツァルトのレクイエムである。

祈りの心を込めて真摯に歌い上げる壮麗な合唱と哀愁を秘めた清澄な独唱、そして重厚な響きのウィーン・フィルをカラヤンが見事に統率し、彼の意思が隅々まで透徹した情感豊かで崇高なる演奏を聴かせている1枚。

ベーム&ウィーン・フィルをはじめとする厳かな演奏がひしめく中にあって、筆者がまず第一に手を伸ばすのが本CD。

カラヤンは、1960年代、1970年代に、それぞれベルリン・フィルと組んでモーツァルトのレクイエムを録音しているが、特に1970年代の演奏に顕著ないわばオペラ風な劇的性格の演奏とは異なり、本盤は枯れた味わいの演奏に仕上がっている。

1回目は宗教音楽としての美しさを、2回目はクラシック音楽としての美しさを、そしてこの録音はそれらを超越した、この曲の持つ神秘性を引き出した録音と言えるのではないか。

カラヤンの指揮は王道を行くもので、比較的テンポも中庸で、カラヤンの故郷ザルツブルグゆかりのモーツァルトの白鳥の歌をケレン味なく演奏している。

これが、偉大なるモーツァルトに捧げるカラヤンの「祈り」なのである。

それは、晩年の健康状態のすぐれないカラヤンの精神が、これを作曲したときのモーツァルトの精神にかぎりなく近づいたからではないだろうか。

カラヤンの、いつもの美しさを求める傾向は影をひそめ、モーツァルトが表現しようとしたレクイエムの神髄に、ストイックなほどに迫っている、最高のモツレク演奏のひとつだと思う。

オーケストラもウィーン・フィルであるし、特に重要なソプラノ奏者がバルツァからトモワ=シントウに変わったこともあると思われるが、それ以上に、ベルリン・フィルとの関係が悪化し、健康状態も相当に悪化したカラヤンのこの当時の心境の反映、または、カラヤンが最晩年に至って到達した枯淡の境地とも言えるのではないだろうか。

いずれにしても、このような要素が複合的に絡み合い、モーツァルトのレクイエムの感動的な名演の1つとなった。

同曲の代表的名盤とされるベーム盤より遥かに聴きやすく、古楽器ものより重厚さや華麗さに溢れている。

ソリストもバランスが取れていて四重唱の「思い出して下さい…」が大変素晴らしく、個人的には重過ぎない「キリエ」「怒りの日」から、ここまでの流れの美しさが好みである。

何と言っても、帝王晩年の黄昏を感じさせ、老境に至ったカラヤンの穏やかな心の深みを垣間見せる、自然体の表現が最大の魅力だ。

カラヤンらしいのは深みのある表現にも関わらず、曖昧さがなく、非常に聴きやすい演奏である事。

美と敬虔と荘厳の共存した稀有な名演でありながら、カラヤンはウィーン・フィルの最も荘厳な音色を引き出しているようでもあり、全ての人に訪れる死というものに正面から向き合って死とは何かと問いかけているような迫力を感じる。

合唱は、相変わらずウィーン楽友協会合唱団であるが、カラヤンの統率力の下、終身監督であるカラヤンと一体となった感動的な演奏を行っている。

1980年代のカラヤンのCDの出来は録音状態も含め、結構ムラがあるように思うが、このCDは全盛期のものと比べても極上の1枚だと言えるだろう。

いずれにしても、カラヤンらしい神々しい演奏であり、落ち着いた神聖な気分に浸りたい人にはぴったり来る演奏であろう。

SHM−CD化により、解像度がやや向上したことも評価したい。

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classicalmusic at 23:02コメント(0)モーツァルト | カラヤン 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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