2015年04月25日
カラヤン&ウィーン・フィルのハイドン:交響曲第104番「ロンドン」、第103番「太鼓連打」
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本作は、生涯に100曲以上の交響曲を作曲したハイドンの第104番《ロンドン》と第103番《太鼓連打》を収録したアルバム。
若きカラヤンがウィーン・フィルと共に、生命力あふれる実に堂々とした演奏で、ハイドン最後の2曲の交響曲を聴かせてくれる作品。
大編成のモダン・オーケストラを壮麗に響かせた艶やかで優美な演奏で、まさに王者の風格があり、独自の魅力を漂わせている。
ウィーン国立歌劇場音楽監督時代の一連のデッカ録音の中の最高作の1つで、明るいオケの音色を生かして、確固たる古典美をつくりだしている。
カラヤンのハイドン交響曲に初めて接したのはウィーン・フィルを振っての1959年他の英デッカのLP盤《太鼓連打》《ロンドン》だったリスナーも多いと思う。
後年カラヤンはハイドン交響曲を1975年頃ベルリン・フィルとEMIに、そして1980年代初め同じベルリン・フィルとDGに録音しており、ますます豪華で重厚な交響曲へと仕上げられて行き、流麗なレガートの味は堪能できるだろう。
しかし三つ子の魂百までで英デッカ盤のある意味溌剌さは後年盤には求める事は出来ず、既に50年以上前の録音とはいえ、今なお、価値の高い1枚と言えるだろう。
ハイドンの《ロンドン》はカラヤンが好んで指揮した楽曲の1つである。
筆者の手元にも、ベルリン・フィルを指揮した新旧2種のスタジオ録音、ウィーン・フィルを指揮した1979年のザルツブルク音楽祭でのライヴ録音、そして本盤の合計で4種もある。
これらの中でも、最もバランスのとれた名演は、本盤のウィーン・フィルとのスタジオ録音ではないかと考えている。
演奏者の品位と、曲の力を引き出した演奏で、カラヤンらしいそつのない、颯爽とした演奏になっていて、クレンペラーのような荘厳さとは変わってエレガントなタッチを感じる。
カラヤンならではの颯爽としたテンポによる演奏であるが、よく聴くと、隋所に抑揚の効いた極上のレガートがかかっており、各楽章の描き分けも実に巧みだ。
特に第4楽章、あっけないほどに隙のない展開、小5分で締めくくってしまうが、そこが心憎いほど演出巧者なカラヤンの神髄かも知れない。
ウィーン・フィルも、極上の美演でカラヤンの指揮に応えている。
《太鼓連打》は、後年のベルリン・フィルとのスタジオ録音も名演であり、あとは好みの問題だと思うが、この当時のウィーン・フィルの演奏の美しさには抗しがたい魅力がある。
前述のようにカラヤンはハイドンを晩年ベルリン・フィルとも録音しているが、このウィーン・フィルとの録音では、肩の力を抜いて、まさに「ご当地」の音楽に興じている演奏家たちの気構えが充分に伝わってくる。
両曲で聴かせる品の良さ、快活さ、そして音の密度の濃さには、聴いていて満足感を得られるし、何よりハイドンの音楽の素晴らしさを存分に紹介してくれていると思う。
なお、《ロンドン》等最終楽章で本盤は後年盤で演奏された反復部分は略されておりスッキリしている。
SHM−CD化により、これらの名演がより高音質で聴けることになったことを大いに喜びたい。
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