2014年04月20日

F=ディースカウ&ムーアのシューベルト:歌曲集「冬の旅」[SACD]


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本盤には、シューベルトの最晩年の傑作である歌曲集「冬の旅」が収められている。

歌曲集「冬の旅」は、恋に破れ、さすらいの旅に出た若者を歌った救いようもない絶望的な暗いストーリーを、シューベルトならではの寂寥感溢れる美しい旋律が散りばめられた24曲にも及ぶ歌曲で描き出した傑作である。

その内容の深さには尋常ならざるものがあると言えるところであり、シューベルトの他の作品で言えば、最後の3つのピアノ・ソナタ(第19番〜第21番)や弦楽五重奏曲ハ長調、交響曲第9番「ザ・グレート」などにも比肩する崇高さを湛えていると言えるだろう。

いずれにしても、同歌曲集は、歌曲の王と言われたシューベルトの膨大な数に及ぶ歌曲の中でも最高傑作であるだけでなく、あらゆる作曲家による歌曲の中でもトップの座に君臨する不朽の名作と言っても過言ではあるまい。

これだけの名作だけに、フィッシャー=ディースカウは、同歌曲集を7度という途轍もない数の録音を行っているところだ。

その中で、随一の名演を1つ選ぶということであれば、筆者は躊躇なく、本盤に収められたジェラルド・ムーアとともに演奏を行ったスタジオ録音(1971年)を掲げたいと考える。

1971年と言えば、フィッシャー=ディースカウにとって心身ともに最も充実していた時期に相当するが、それだけに、本演奏においても圧倒的な名唱を披露している。

フィッシャー=ディースカウの歌唱は、あまりにも巧いために、その巧さが鼻につくケースも散見されるところであるが、本演奏においては、巧さにおいては申し分がないものの、技巧臭などはいささかも感じさせず、むしろシューベルトの音楽の素晴らしさ、美しさを心行くまで堪能させてくれるのが素晴らしい。

あたかも、フィッシャー=ディースカウが主人公である若者の化身となったような趣きさえ感じられるところであり、これだけ同歌曲集の魅力を堪能させてくれれば文句は言えまい。

もっとも、かかるフィッシャー=ディースカウによる歌唱は、歌曲集「美しき水車小屋の娘」では他の演奏の追随を許さない名演に仕上がっていたが、歌曲集「冬の旅」の場合は、その内容の奥行きのある深遠さに鑑みて、より楽曲の心眼に鋭く切り込んでいくような凄みが欲しいとも言えるところだ。

したがって、本演奏を名演と評価するのにいささかも躊躇するものではないが、歌曲集「美しき水車小屋の娘」の場合のように、唯一無二の名演と評価するのは困難であることを指摘しておきたいと考える。

ジェラルド・ムーアのピアノ演奏についても同様のことが言えるところであり、シューベルトによる美しい旋律の数々を情感豊かに描き出してはいるが、今一歩表現に凄みというか彫りの深さが欲しいという気がしないでもないところだ。

もっとも、フィッシャー=ディースカウによる名唱の引き立て役としては十分にその任を果たしていると言えるだろう。

音質については、リマスタリングがなされるなど高音質化への不断の取り組みが行われてきたが、今般、ついにシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD化が行われることによって、従来CD盤を遥かに凌駕するおよそ信じ難いような圧倒的な高音質に生まれ変わったところだ。

フィッシャー=ディースカウの息遣いやジェラルド・ムーアのピアノタッチが鮮明に再現される極上の高音質や音場の幅広い臨場感にはただただ驚愕するばかりであり、あらためて本シングルレイヤーによるSACD&SHM−CD盤の潜在能力の高さを思い知った次第である。

いずれにしても、フィッシャー=ディースカウ&ジェラルド・ムーアによる名演を、現在望み得る最高の高音質を誇るシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD盤で味わうことができるのを大いに喜びたい。

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