2015年05月03日

C・クライバー&バイエルン国立管のベートーヴェン:交響曲第7番[SACD]


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カルロス・クライバーは、その実力の割にはレパートリーがあまりにも少ない指揮者であったが、ひとたびレパートリーとした楽曲については、それこそより優れた演奏を志向すべく何度も演奏を繰り返した。

ベートーヴェンの交響曲第7番は、そうしたクライバーの数少ないレパートリーの1つであり、来日公演でもとりあげ、日本の聴衆を熱狂の渦に巻き込んだのであるが、ウィーン・フィルとのスタジオ録音(1975年)の他、多数のDVD作品や海賊盤が市場に蔓延っていたところである。

クライバーは本演奏の発売を禁じていたが、没後この演奏が発売されると世界の音楽ファンに衝撃を与え、それまで今一つ親しめる存在ではなかった同曲の魅力を、本演奏を聴くに及んで初めて知ったことが今となっては懐かしく思い出されるところだ。

その後は、別のスタイルの演奏であれば、フルトヴェングラー&ウィーン・フィルによるスタジオ録音(1950年)などが高音質で発売(SACD化)されたことから、本演奏の存在感は若干色褪せてきていたことは否めないところであったが、今般、高音質化されて発売された本演奏に接すると、あらためてその演奏の凄さを思い知った次第である。

天井知らずの熱狂と猛烈なスピード感、切り立つ音響の凄まじさと入念をきわめた細部表現による多彩でデリケートなニュアンスを併せ持ち、緊張と解放を自由自在に繰り返しながら未曾有の燃焼度を達成した稀代の名演である。

全曲を約40分弱という凄まじいスピードで駆け抜けており、繰り返しなどもすべて省略しているが、それでいて、特に緩徐楽章における各旋律の端々に込められた独特のニュアンスの豊かさ、そして、思い切った強弱の変化やテンポの効果的な振幅を駆使して、実に内容豊かな演奏を繰り広げていると言えるだろう。

クライバーの没後、本演奏の発売される運びとなったのは、数多く行ってきた同曲の演奏の中でも、崇敬するベームの追悼コンサートに際しての本演奏を特別視していたからであると思われるが、それも十分に納得することが可能な圧倒的な超名演と高く評価したいと考える。

バイエルン国立管弦楽団も、クライバーの統率の下、渾身の名演奏を繰り広げている。

第1楽章のフルートの入りのミスや、とりわけ終楽章など、あまりのテンポの速さにアンサンブルが乱れる箇所も散見されるが、演奏全体に瑕疵を与えるほどのものではなく、むしろ、実演ならではのスリリングさを味わうことができる点を高く評価すべきであろう。

ウィーン・フィルとのDG盤に比較すると、終楽章で特に顕著であるが、クライバーの華麗な棒さばきに必死の形相で喰らい付いてゆこうとするバイエルン国立管弦楽団の健気さと熱い心がダイレクトに伝わってくるという意味で、筆者としては、本盤に軍配を上げたいと思う。

音質は、従来CD盤でも十分に満足できるものであったが、今般、ハイブリットSACD化がなされるに及んで大変驚いた。

待望のSACD化が行われることによって、見違えるような鮮明な音質に生まれ変わったと言える。

音質の鮮明さ、音場の幅広さ、そして音圧のいずれをとっても一級品の仕上がりであり、あらためてSACDの潜在能力の高さを思い知った次第である。

いずれにしても、クライバーによる圧倒的な超名演を、SACDによる高音質で味わうことができるのを大いに歓迎したいと考える。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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