2015年04月03日
フルトヴェングラー&ベルリン・フィルのベートーヴェン:交響曲第7番、第8番(1953年ライヴ)[SACD]
この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。
1953年4月14日 ベルリン、ティタニア・パラストでのライヴ・レコーディング。
フルトヴェングラー晩年の、燃焼度抜群の名演で、オーケストラの力の入りようも尋常ではなく、強烈な印象を残す録音として名高いもの。
フルトヴェングラーによるベートーヴェンの交響曲第7番の演奏の録音は数多く遺されているが、一般的には1943年のベルリン・フィルとのライヴ録音と1950年のウィーン・フィルとのスタジオ録音が双璧の名演とされている。
いずれも数年前にオーパス蔵が素晴らしい復刻を行ったことから、両名演の優劣をつけるのが極めて困難な状況が続いていたところである。
しかしながら、一昨年1月、EMIが1950年盤をSACD化したことによって、きわめて鮮明な音質に生まれ変わったことから、おそらくは現在では1950年盤をより上位に置く聴き手の方が多数派を占めていると言えるのではないだろうか。
このような2強の一角を脅かす存在になりそうなのが、先般シングルレイヤーによるSACD&SHM−CD化という、現在望み得る最高の高音質化が図られた、本盤に収められた1953年のライヴ録音ということになる。
本演奏については、従来盤(DG)の音質はデッドで音場が全く広がらないという問題外の音質であったが、数年前にスペクトラムレーベルが比較的満足し得る復刻を行ったところだ。
しかしながら、ユニバーサルによる今般のシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD化によって、これまでとは次元が異なる高音質に生まれ変わったと言えるところであり、鮮明で解像度が高く、とても半世紀前の録音とは思えない。
ようやく本演奏の真価を味わうことが可能となるに至ったと言えるだろう。
第7番は1943年のライヴ録音のようなテンポの激しい動きは無いが、集中力と完成度の高い一気に聴かせる素晴らしい演奏である。
冒頭の和音からして崇高さを湛えており、その後は濃厚さの極みとも言うべき重厚な音楽が連続していくが、彫りの深さといい、情感の豊かさといい、これ以上の演奏は考えられないほどの高みに達した神々しさを湛えている。
終楽章の終結部に向けてのアッチェレランドを駆使した畳み掛けていくような力強さは、圧倒的な迫力を誇っている。
筆者としては、本SACD盤が登場しても、なお1950年盤の方をより上位に置きたいと考えてはいるが、本SACD盤は1950年盤に肉薄する超名演と評価するのにいささかも躊躇しない。
他方、交響曲第8番については、ストックホルム・フィルとの演奏(1948年)がEMIによって既にSACD化されているが、必ずしも音質改善が図られたとは言えなかっただけに、本盤の演奏の方が、音質面においても、そしてオーケストラ(ベルリン・フィル)の質においても、より上位を占めるに至ったと言っても過言ではあるまい。
第8番は、フルトヴェングラーが必ずしも得意とした交響曲ではなかったとされているが、このような高音質で聴くと、むしろ同曲を自己薬籠中のものとしていたのではないかとさえ思われるような熟達した名演を繰り広げていることがよく理解できるところだ。
モーツァルト的な演奏とは違う、まさにベートーヴェン的な情熱感のある演奏を繰り広げている。
いずれにしても、フルトヴェングラーによる至高の超名演を、シングルレイヤーによるSACD&SHM−CD盤という現在最高のパッケージメディアで味わうことができるのを大いに歓迎したい。
ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング
フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室。