2023年03月24日
音楽家として熟成したポリーニ🧓🏻指揮もあわせてウィーン・フィルとのモーツァルトの世界に帰ってきた💞“弾き振り”による逸品🫰🏻ピアノ協奏曲第12番🌠第24番
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ポリーニの“弾き振り”によるモーツァルトのピアノ協奏曲第17番&第21番に続く第2弾で、2007年にライヴ録音された逸品。
前回に引き続いて「後期の傑作」と「初期の魅力的な佳作」のカップリングとなっているが、筆者にはポリーニがベームと録音した第19番と第23番の組み合わせを踏襲するスタイルを意識しているように思えてならない。
若きポリーニが尊敬する巨匠と録音したモーツァルト、そしていま音楽家として熟成したポリーニは指揮もあわせてウィーン・フィルとのモーツァルトの世界に帰ってきたのである……と考えるとロマンティック過ぎるだろうか。
両曲に共通することであるが、ピアノの音色は水銀の珠を転がすような美しさであり、中音も低音も強調されない粒の揃ったタッチは、他では絶対に聴けないものと言える。
第12番はモーツァルトがウィーンで作曲した最初の本格的なクラヴィーア協奏曲であり、かつ管楽器抜きの弦四部で演奏することも可能なように書かれている。
第1楽章から親しみやすい典雅な伸びやかさがあり、落ち着いたポリーニのピアノが安らぎを与える。
第2楽章はモーツァルトらしいところどころ哀しい色を帯びた美しいアンダンテで、ここでポリーニのピアノはたっぷりと憂いを含んだ憧憬的な音色で歌っており、昔のポリーニを知るものには隔世の感がある。
終楽章のロンドも愛らしく、ポリーニのやや硬質だが、透徹した鋭利なタッチが冴え渡っている。
第24番はモーツァルトの「短調の世界」を存分に味わえる大曲であり、演奏もこれに即した深々とした情感を満たす。
シャープなピアノが音の膨らみを警戒し、鋭敏に輪郭線を描いている。
たとえば終楽章の感情の爆発も、スピーディーで線的に描かれていて、1つの演奏形態の理想像を示していると思う。
一方で、第2楽章の木管楽器との音色の交錯もなかなか巧みで聴き応えたっぷり。
部分的に弦楽器が表情を硬くしすぎる感があったが、気にするほどではなく、もちろん名演と呼ぶに差し支えない出来栄え。
そして時にはあたかもベートーヴェンの曲であるかのようなダイナミズムを見せ、全体として、それにしてもポリーニがこれほどと思わせるくらい、とても甘美なモーツァルトに仕上がっている。
さらに本盤で素晴らしいのはウィーン・フィルの優美な演奏と言えるだろう。
ウィーン・フィルは、いかにもモーツァルトならではの高貴な優美さをいささかも損なうことなく、見事なアンサンブルを構築している。
ライヴ録音であるが拍手は第24番終了後にのみ収録されている。
個人的に拍手は不要と思うが(なお言うとポリーニの音楽はスタジオ録音の方が堪能できる)曲間の拍手をカットしてくれたのはありがたい。
リスナーのことを配慮してくれたのだろう。
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