2016年03月25日

ハイフェッツのメンデルスゾーン&チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲


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いわゆる4大ヴァイオリン協奏曲の中でもメンデルスゾーンとチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は、技量面での難しさもさることながら、音楽の精神的な深みよりはメロディの美しさが際立った作品である。

したがって、演奏するヴァイオリニストにとっても、卓越した技量を持ち合わせているだけでなく、楽曲のメロディラインをくっきりと浮き彫りにする姿勢を持ち合わせていないと、スコアに記された音符の表層をなぞっただけの浅薄な演奏に陥ってしまう危険性があると言えるだろう。

そうした中にあって、ハイフェッツによる本盤の演奏は、持ち前の超絶的な技量を駆使することのみによって、両曲の内容面をも含めた魅力を描出し得た稀有の演奏と言えるのではないだろうか。

ハイフェッツの全盛期の演奏であるだけに、先ずは、その持ち味である超絶的な技量に圧倒されてしまう。

同時代に活躍した、ヴィルトゥオーゾを発揮したピアニストにホロヴィッツがいるが、ホロヴィッツが卓越した技量が芸術を超える稀有のピアニストであったのと同様に、ハイフェッツも、卓越した技量が芸術を超える稀有のヴァイオリニストであったと言えるのではないかと考えられる。

世界最高のテクニシャンたるハイフェッツらしく、ビシッと決まった音程、理知的でインテンポな構築感の怜悧な鋭さ、それでいて決して機械的なわけではなく、行間からあふれ出る抑制の効いた歌はまさに絶品で、ハイフェッツの偉大さを堪能できる。

両曲ともに、ハイフェッツは、おそらくは両曲のこれまでのあまたのヴァイオリニストによる演奏の中でも史上最速のテンポで全曲を駆け抜けている。

これだけの速いテンポだと、技量面だけが前面に突出した素っ気ない演奏に陥る危険性を孕んでいると言えるが、ハイフェッツの場合には、そのような落とし穴にはいささかも陥っていない。

これほどの速いテンポで卓越した技量を披露しているにもかかわらず、技巧臭がいささかもせず、音楽の素晴らしさ、魅力だけが聴き手に伝わってくるというのは、まさに、前述のような卓越した技量が芸術を超える稀有のヴァイオリニストの面目躍如と言ったところであろう。

両協奏曲とも、美しく、激しく、緊張感に満ち、しかし聴いていて完全に満たされていくような演奏であり、これは、抜群の演奏としか言いようのない完成度である。

ハイフェッツについては、現在に至るまで、技巧派、冷たい演奏といった見方もあるが、よく耳を澄ませば、怜悧で厳しい演奏スタイルのなかに、ほの明るい色調と抑制の効いた深い感情表現を見い出すことができる。

両協奏曲の緩徐楽章においても、速めのテンポでありつつも情感豊かに歌い抜いており、このような演奏を聴いていると、ハイフェッツはヴィルトゥオーゾヴァイオリニストの第一人者として広く認知はされているが、血も涙もある懐の深い大芸術家であったことがよく理解できるところだ。

オーケストラのバックも申し分ないもので、ミュンシュ&ボストン響、ライナー&シカゴ響は、当時、全米のみならず欧州を含め、最高の技倆を誇った指揮者と交響楽団の組み合わせであり、録音時点はその最盛期に位置する。

いずれにしても、本盤の両協奏曲の演奏は、ハイフェッツの全盛期の演奏の凄さを大いに満喫させてくれる圧倒的な超名演と高く評価したいと考える。

これだけの超名演だけに、これまでハイブリッドSACD化など高音質化への取り組みがなされているが、これまでのところ、数年前に発売されていたSHM−CD盤よりも本Blu-spec-CD2盤の方が良好な音質である。

もっとも、ハイフェッツ全盛期の超名演だけに、メーカー側の段階的な高音質化という悪質な金儲け主義を助長するわけではないが、今後はシングルレイヤーによるSACD盤で発売していただくことをこの場を借りて強く要望しておきたい。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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