2015年04月02日

プリンツ&ベームのモーツァルト:クラリネット協奏曲/グルダ&アバドのモーツァルト:ピアノ協奏曲第21番[SACD]


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両曲ともに定評ある名演であり、クラリネット協奏曲はルビジウムカッティング盤、ピアノ協奏曲はSHM−CD盤が発売されているが、本盤の売りは2つ。

1つは、SACDマルチチャンネルによる高音質化、もう1つはベームとアバドという名指揮者の芸風の比較ができるという点である。

まず、SACDマルチチャンネルであるが、これは極上の音質であり、ルビジウムカッティングやSHM−CDなどとはそもそも次元が異なる。

まるで、ヨーロッパの極上のホールで聴いているような錯覚を覚えるほどの奥行きのある音であり、定評ある名演を、おそらくは現時点で求めうる最高の音質で味わうことができることを大いに喜びたい。

もう1つの両名指揮者の比較であるが、これも違いがよくわかる。

ベームの厳しい造型の下、隙間風の吹かない重厚な演奏、これに対して、バランスを重視するアバド。

どちらもウィーン・フィルの音色の美しさを生かしていくというアプローチには共通点も見られるが、この違いは大変興味深かった。

モーツァルトのクラリネット協奏曲では、最近ではほとんど聴かれなくなった重厚さと高貴な優美さを兼ね備えた珠玉の名演である。

録音は1972年というベームの最後の全盛期であり、その指揮は、モーツァルトを得意としたベームならではの厳しい造型の中にあっても柔軟性のある自然体のものであり、ウィーン・フィルも絶美の演奏を行っている。

そして、何よりも、当時のウィーン・フィルの首席奏者だったプリンツのウィーン風の極上の演奏が、この名演により一層の華を添える結果になっている。

他方、ウィーン出身のピアニストであるにもかかわらず、ジャズ音楽に裾野を広げたりするなど、自由奔放な活動が目立つグルダであるが、そのようなグルダが、ベートーヴェンのピアノ・ソナタなどの独墺系の音楽を演奏する際には、自由奔放なグルダはすっかりと影をひそめ、真摯なピアニストに変貌する。

モーツァルトのピアノ協奏曲においても、そのような真摯な姿勢は変わりがないと言えるのではないか。

実際に、本演奏におけるグルダのピアノも、曲想を心を込めて描き出して行くという真摯なものだ。

そのアプローチは、いささかも奇を衒うことがなく、楽曲の魅力をダイレクトに聴き手に伝えていこうという自然体の姿勢そのものであり、モーツァルトの音楽特有の優美さをいささかも損なっていないのが素晴らしい。

それでいて、時として見られる寂寥感の描出についても抜かりはなく、全体として、いかにもドイツ風の重厚かつシンフォニックな演奏を行っている点を高く評価したい。

第3楽章においては、グルダならではの自作のカデンツァを聴くことができるが、ここでは、常々の自由奔放なグルダを垣間見ることが可能であり、演奏全体に新鮮さを与えている点も見過ごしてはならない。

このようなグルダを下支えするのが、アバド&ウィーン・フィルの素晴らしい好演ということになるであろう。

本演奏は1974年であるが、この当時のアバドは、イタリア人指揮者ならではの豊かな歌謡性と、音楽の核心にひた向きに切り込んでいこうという生命力溢れる気迫がマッチングした素晴らしい名演の数々を生み出していたが、本演奏においても、そうしたアバドの指揮は健在である。

若きアバドの指揮の下、ウィーン・フィルが素晴らしい演奏を繰り広げている点も特筆すべきであり、演奏全体に適度な潤いと奥行きの深さを与えているのを見過ごしてはならない。

いずれにしても、演奏の素晴らしさ、音質の見事さ、そして名指揮者や名ソリストの至芸等を満喫することができる名SACDであることには異論はあるまい。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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