2015年04月10日

ビーチャム&ロイヤル・フィルのディーリアス:管弦楽曲集


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母国の作曲家ディーリアスと親交を結び、彼の音楽の普及に最も貢献した指揮者トーマス・ビーチャムが遺した、ディーリアスのステレオ録音の全てを収録したアルバム。

このような演奏こそは、まさに英国の詩情極まれりと言ったところであろう。

ディーリアスの管弦楽曲は、いずれもいかにもイギリスの詩情溢れる親しみやすいものであるが、これをビーチャム以上に情感豊かに美しく演奏したことがこれまでにあったのであろうか。

ディーリアスと親交の深かったビーチャムは、手兵ロイヤル・フィルとともに管弦楽曲集の録音を遺しており、それは現在においてもディーリアスの管弦楽曲演奏の規範となるべき至高の超名演である。

生前の作曲者からその作品解釈を託されほどの信頼関係にあったビーチャムは、作曲者の生前から病に倒れて亡くなってからもディーリアスの音楽の普及に努力を惜しまなかった。

晩年エリック・フェンビーがディーリアスの助手として働き始めてからはイギリスでディーリアス作品で固めたディーリアス・フェスティバルを開催するなど、作曲者の最大の擁護者であった。

SPからステレオ時代1950年代後半までディーリアスの作品の多くを熱心に録音に行なっていた。

第2次大戦で時間をロスしてしまったのとモノラル時代からステレオに変り始めていた時代に対応すべくCBSからEMIに移ってディーリアスの作品を録音し直し始めたが、このアルバムの内容を録音したところで病に倒れ、作曲者の生誕100年祭を目前にこの世を去ってしまった。

このステレオ録音の特徴はそれまでビーチャムが録音を残してなかった作品が含まれていることで、その中にはビーチャム自身がこだわってきた初期の作品が含まれている。

彼自身が実際に演奏しながら手を加えてきたもので、【フロリダ組曲】【そり乗り】【夏の夕べ】【マルシュ・カプリース】など。

又永年愛奏してきた作品【ブリッグの定期市】【春はじめての郭公を聞いて】【河の上の夏の夜】【丘を越えてはるかに】【イルメリン前奏曲】などの小品も含まれている。

さらに【日没の歌】に関しては、生涯で3回も録音をトライしていたが、最後までその発売を禁止していた。

ビーチャムの演奏が素晴らしいのは、これらの各楽曲のスコアに記された音符のうわべだけをなぞっただけの薄味の演奏にはいささかも陥っていないということであろう。

ディーリアスの管弦楽曲の演奏に際しては、その旋律の美しさに気をとられて、音楽に込められた内容への追求をどこかに置き忘れた薄味の演奏も散見されるところである。

しかしながら、ビーチャムによる本演奏は、もちろん前述のように美しさにおいても他の演奏の追随を許さないものがあると言えるが、どこをとっても奥深い情感と独特のニュアンスが込められており、楽曲の細部に至るまで彫琢の限りを尽くした内容の濃い、そして味わい深い演奏を展開している。

いずれにしても、ビーチャムによる本演奏は、その美しさにおいても、内容の濃さにおいても、味わい深さにおいても、まさにディーリアスの管弦楽曲演奏の理想像の具現化と言えるところであり、同じくディーリアスを愛したバルビローリ盤をとともに、ディーリアスの管弦楽曲集の演奏史上でもトップの座を争う至高の超名演と高く評価したいと考える。

各演奏における情感の豊かさ、心を込めた歌い方においては、バルビローリ盤の方に軍配があがるかもしれないが、ディーリアスの音楽が持つ豊かな詩情性をこれだけナチュラルに美しく、しかも淡々と滑らかに表現できるのは、ディーリアスを熟知していたビーチャムならではのものであり、作曲者と、時代と風土を共にした指揮者にのみ可能な名演だろう。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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