2015年04月12日

C・デイヴィス&ロンドン響のシベリウス:交響曲第2番、他[SACD]


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コリン・デイヴィスは、シベリウスの交響曲全集を3度録音した稀有の指揮者だ。

これは、シベリウスの母国、フィンランドの指揮者であるベルグルンドと並ぶ最多記録と言えるところであり、デイヴィスがいかにシベリウスに深い愛着を持っているのかの証左と言えるだろう。

デイヴィスの3つの全集のうち、現在でも依然として評価が高いのは、1970年代にボストン交響楽団を演奏して成し遂げた最初の全集である。

特に、「第1」〜「第5」は、他の名演と比較しても今なお上位にランキングされる名演であり、いささか透明感に欠ける「第6」や「第7」を踏まえて考えてみても、全集としての価値は、今なお相当に高いものがあると言えるのではないだろうか。

私事で恐縮であるが、筆者も中学生の時代にシベリウスの交響曲に慣れ親しんだが、その時に愛聴していたLPがデイヴィスによる最初の全集であった。

これに対して、2度目の全集は、最初の全集から約20年後の1990年代にロンドン交響楽団と成し遂げたものであるが、これは、はっきり言って、最初の全集と比較するといささか魅力に乏しいと言えるだろう。

デイヴィスとしては、自信を持って臨んだ録音であるのであろうが、そうした自信が過剰になってしまったきらいがあり、金管楽器などのいささか無機的な音色に、やや力の入った力みを感じさせるのが非常に気になった。

最初の全集と比較して、解釈に深みが加わった点は散見されるものの、デイヴィスとしてもいささか不本意な出来であったのではあるまいか。

2度目の全集から10年足らずの間隔で、ロンドン交響楽団の自主レーベルにではあるが、3度目の録音を行ったというのは、その証左と言えるのではないかと考えられる。

そして、この3度目の全集であるが、これは、2度目の全集で見られたような力みがいささかも感じられず、いわゆる純音楽的で自然体のアプローチによる円熟の名演揃いであると高く評価したい。

最初の全集において、いささか透明感に欠けていた「第6」及び「第7」についても、北欧の大自然を彷彿とさせるような繊細な抒情美に満ち溢れており、クレルヴォ交響曲をも含め、本3度目全集は、まさしくデイヴィスのシベリウスの交響曲演奏の総決算とも言うべき素晴らしい名演集であると高く評価したい。

2007年シベリウス没後50年に合わせてのリリースとなるこのたびのライヴは、過去2度にわたる全集録音の豊かな経験を踏まえ、巨匠デイヴィスの熱い思いのすべてが注ぎ込まれた渾身の演奏内容である。

前回(1992年)から10年以上の歳月を重ねて臨んだ第2番のライヴ録音であるが、そもそもデイヴィス+ロンドン響+シベリウスの組み合わせとくれば期待度の高さは計り知れないが、とっておきの作品を演奏することへの心からの喜びであろうか、これまでのどれよりもドラマティックで、しかもみずみずしい感性にあふれているのが驚異的。

いつ聴いても、あのどこか懐かしい気分に心弾む第1楽章、大自然の雄叫びのように荒々しいティンパニの炸裂と金管の咆哮とがこだまする中間2楽章を経て、雄大に結ばれるフィナーレ、いつしかこのうえなく温かく感動的な演奏に言葉もない。

カップリングは2005-6年シーズンのオープニング・コンサートで『クレルヴォ交響曲』の前プロに取り上げられた『ポホヨラの娘』。

そのクレルヴォと同じく民族叙事詩『カレワラ』を題材とするこの作品でもまた、繊細な弦の表情とブラス・セクションの轟きが圧倒的な感銘を残す。

そして本盤で素晴らしいのはマルチチャンネル付きのSACDによる極上の高音質であり、一貫して完成度の高い録音もオーディオ・ファイル注目の的で、本拠地バービカンセンターのクリアな音場を最高のスタッフが忠実に再現している。

シベリウスの交響曲のような透明感溢れる抒情的な音楽には、本盤のようなマルチチャンネル付きのSACDは抜群の効力を発揮すると言えるところであり、演奏内容の質の高さからしても、今般のSACD化を大いに歓迎したい。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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