2015年08月11日

アバド&ベルリン・フィルのマーラー:交響曲第3番


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アバドによるマーラーの交響曲第3番には、ウィーン・フィルとのスタジオ録音(1980年)もあり、それは若き日のアバドならではの魅力のある素晴らしい名演と今でも高く評価したい。

しかしながら、1999年ベルリン・フィルとのロンドン公演に於けるライヴ録音が、旧盤と比べてもより緻密で精巧に仕上がっていると言えるところであり、筆者としては、新盤の方を至高の超名演として更なる上位に置きたい。

それどころか、バーンスタイン&ニューヨーク・フィル(1987年ライヴ録音)やテンシュテット&ロンドン・フィル(1986年ライヴ録音)などと並んで、数ある同曲の録音の中でも最高の名盤と絶賛したい。

本演奏は、アバドが大病にかかる直前のベルリン・フィルとの演奏であるが、アバドも、そしてベルリン・フィルもともに渾身の力を発揮した圧倒的な超名演に仕上がっている。

アバドによるベルリン・フィルの様々な改革の成果がはっきりと出てきた頃の充実ぶりを実感できる、新たな境地に到達した演奏と言えるだろう。

ライヴ録音ということもあって、アバドの、そしてベルリン・フィルのコンディションもかなり良かったのではないかとも思われる。

ベルリン・フィルとの他のマーラー録音もそうであったが、「第3」においても、アバドのエネルギッシュな指揮ぶりは実に凄まじい。

大胆でダイナミックな表現の演奏で、ライヴゆえのオーヴァー・アクションもあるだろうが、そうしたうわべだけに終わらず見通しの良いガッシリとした構成力やオケの性能の高さは一目瞭然であり、品のいいマーラーだ。

とりわけ、第1楽章におけるトゥッティに向けて畳み掛けていくような気迫と力感は、圧倒的な迫力を誇っている。

また、第2楽章以降におけるアバドならではの歌謡性豊かな表現には汲めども尽きぬ情感が満ち満ちており、その歌心溢れる柔和な美しさには抗し難い魅力がある。

このアバド&ベルリン・フィルの演奏には温かみがあり、ウィーン・フィルとの演奏とは違う柔らかみのある響きが特徴で、約20年を経てアバドが余裕でオーケストラをコントロールしている様子が窺える。

もっとも、全体にバランスを重視するあまりピアニッシモがいささか弱過ぎるきらいがあるが、壮麗な美しさは非常に魅力的であり、第1楽章や終楽章終結部で強靭な迫力が漲っているところなど、旧盤を遥かに凌駕している。

そして何よりも特筆すべきはベルリン・フィルによる極上の美しい音色であり、弦も管も音色が美しく透明感があり、アンサンブルも見事。

とりわけ第1楽章におけるジャーマン・ホルンやトロンボーンソロの朗々たる響きや、第1楽章及び第4楽章におけるヴァイオリンソロ、そして第3楽章におけるポストホルンソロは圧巻の美しさを誇っており、本名演に大きく貢献している点を忘れてはならない。

全編を通じて柔らかい小春日和を思わせる、こけおどしのマーラーとは真反対の正統派マーラーと言えよう。

若き日のアンナ・ラーションによる歌唱も、本名演に華を添えていると評価したい。

ロンドン交響合唱団やバーミンガム市交響ユース合唱団も最高のパフォーマンスを発揮している。

録音については、従来盤では全体としてやや雲がかかったような雰囲気とやや音圧レベルが低くマイクが遠い感じがあり、録音が楽器の微細なニュアンスを拾いきれていないようなもどかしさがあった。

しかしながら、今般、SHM−CD化による高音質化が図られたというのは、本演奏の価値を高めることに貢献しており、大いに歓迎したいと考える。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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