2015年04月14日

アルバン・ベルクSQのシューベルト:弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」、第13番「ロザムンデ」


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アルバン・ベルク四重奏団は、1971年に第1ヴァイオリンのギュンター・ピヒラーをリーダーとして結成されたウィーンの団体で、ベルク未亡人の同意を得てこの名称を冠し、ベルクの作品でレコード・デビューを果たしたことは周知のとおり。

レヴェルの高いこのデビュー盤で、たちまちヨーロッパで一目置かれる存在となった。

ベルクにとどまらず、ウィーンとゆかりの深い作曲家の作品をレパートリーとして数々の録音を行なってきたが、このシューベルトの代表的弦楽四重奏曲2曲もそのひとつ。

これは、大変内容の充実したスケールの大きな演奏で、ウィーンの伝統に即しながら、新しい感覚で表現しているところが魅力だ。

アルバン・ベルク四重奏団は、モーツァルトやベートーヴェン、またブラームスなどのロマン派の作品、あるいはバルトークやベルク、ウェーベルンの曲にしても、かなり早い時期から独自の境地を開いており、年を経るごとに大きく変わってくるということがなかったように思われる。

そうした中でも、特にシューベルトの作品に対しては、決して構えた姿勢や力の入った表現ではとらえようとはせず、実にのびのびとした演奏を聴かせるが、それでいて、必要な内的緊迫感を見事に表現しているのが素晴らしい。

とりわけ《死と少女》は、彼らにとって決してルーティンなどになりえない、まさに唯一無二のかけがえのない世界だったようで、常に全力投球を惜しまなかった。

シューベルトの美しい旋律とハーモニーの陰に隠された恐ろしいまでの孤独と寂寥感をこのアルバン・ベルクSQの演奏は聴かせている。

第1ヴァイオリン奏者のピヒラーは、「シューベルトの音楽に表現された彼岸の世界ほど表現することが難しいものはない」とよく言っていたが、この《死と少女》の演奏は、その典型的な例と言えるところであり、これまでのウィーン流のたおやかなシューベルトのイメージを一蹴し、新風を吹き込んだ演奏である。

そのアンサンブルはきわめて緊密で、すこぶる明快、彫りの深い力感を重んじながら透明な響きで旋律をよく歌うと同時に、明晰で厳しくそして緻密にシューベルトの音楽の内面まで深く掘り下げて表現する。

したがって悲劇性と抒情性も含めてこの曲のさまざまな性格が迫真的に表現されている。

各声部の絶妙な語り口で暗いロマン的情熱を適度に引き出している第1楽章、深刻さよりも抒情性が優位に立っているような表現の第2楽章はひとつひとつの変奏もよく旋律の歌わせ方も見事であり、主部と中間部との際立った対比が巧みな第3楽章など、どこをとってみても彼ら独自の美しさが見事に表出していると思う。

この演奏には迸るような激しい情熱や異例なほどの緊張感に満ちた厳しさが溢れているだけに、その間を縫って明滅するように奏でられる抒情的な歌の彼岸の世界をくっきりと浮かび上がらせている。

シューベルトの音楽が、このように際立った鋭さと緊迫感をあらわにするのは、そう多くあることではない。

それでいて、音楽が硬直せず、洗練された情感をもっているのは、この団体の音楽性であろう。

カップリングされている《ロザムンデ》の演奏も聴き応えがあり、端正な造形で、この作品の歌と抒情とをすっきりとまとめあげていて、その爽やかさに惹かれる。

豊かな艶をもったピヒラーの第1ヴァイオリンを中心に、流麗に、そして強固に表現されたシューベルトだ。

特に第1楽章ではしなやかな歌も忘れておらず、動と静のコントラストを巧みに活用し、懐の深さを示している。

現代的な鋭利な感覚のなかに、この曲固有の優美な抒情性を無理なく共存させているところに、このSQの特色があると言えよう。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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