2015年08月29日

ショルティ&シカゴ響のマーラー:交響曲第2番「復活」


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ショルティはマーラーの交響曲の中で特に規模が大きい「第2」を2度にわたってスタジオ録音している。

最初の録音はロンドン交響楽団(1966年)とのスタジオ録音、そして、2度目の録音は、本盤に収められたシカゴ交響楽団との唯一の交響曲全集の一環としてスタジオ録音された演奏(1980年)だ。

ショルティは、バーンスタインやクーベリックなど、一部の限られた指揮者によってしか演奏されていなかったマーラーの交響曲にいち早く注目し、その後のマーラー・ブーム到来の礎を作り上げたという意味では、多大なる功績を遺したと評価できるのではないだろうか。

我が国においては、故吉田秀和氏のように好き嫌いを別にして公平に指揮者を評価できる数少ない音楽評論家は別として、とある著名な某音楽評論家を筆頭に、ショルティに厳しい視線を送る音楽評論家があまりにも多いが、そうした批評を鵜呑みにして、ショルティの指揮する演奏を全く聴かないクラシック音楽ファンがあまりにも多いというのは極めて嘆かわしいことである。

ショルティの各楽曲に対するアプローチは、マーラーの交響曲だけにとどまらずすべての楽曲に共通していると言えるが、切れ味鋭いリズム感とメリハリのある明瞭さであり、それによってスコアに記されたすべての音符を完璧に音化していくということが根底にあったと言える。

マーラーの「第2」について言えば、1966年の演奏はいかにもショルティならではの強烈無比な演奏で、第1楽章冒頭から終楽章の終結部に至るまで、ショルティの個性が全開。

アクセントは鋭く、ブラスセクションは無機的とも言えるほど徹底して鳴らし切るなど、楽想の描き方の明晰さ、切れ味の鋭いシャープさは、他の指揮者によるいかなる演奏よりも(ブーレーズの旧盤が匹敵する可能性あり)、そしてショルティ自身による1970年のマーラーの「第5」の演奏にも比肩するような凄味を有していると言えるだろう。

かかるアプローチは終生変わることがなかったとも言えるが、1980年代以降になると、演奏に円熟の成せる業とも言うべき奥行きの深さ、懐の深さが付加され、大指揮者に相応しい風格が漂うことになったところだ。

その後ショルティは前述のように、「第2」を1980年になって、当時の手兵であるシカゴ交響楽団とともに再録音を行っているが、この1980年の演奏は、1966年の演奏とはかなり様相が異なり、鋭角的な指揮振りは健在であるとは言うものの、聴き手を包み込んでいくような包容力、そして懐の深さのようなものが存在し、聴き手にあまり抵抗感を与えないような演奏に仕上がっている。

したがって、1980年の演奏に抵抗を覚えなかった聴き手の中にさえ、1966年の演奏のような血も涙もない演奏に抵抗感を覚える者も多いのではないかと思われる。

シカゴ交響楽団の光彩陸離たる華麗な演奏ぶりが際立っていることから、このような演奏を内容空虚と批判する音楽評論家も多いようであるが、聴き終えた後の充足感が、例えばバーンスタイン&ニューヨーク・フィル盤(1987年)などの名演に必ずしも引けを取っているわけでもない。

音楽の内面に入り、大きなうねりをもって歌い込むバーンスタイン盤と、音楽を客観的にとらえて、マーラーの音楽がもつ音響的凄さを全面的に出したショルティ盤は対極に位置する演奏である。

改めて本盤を聴くと、まず構築が非常に精微であり、尚且つ知・情・意のバランスが取れている。

それを踏まえた上で全盛期のシカゴ交響楽団は迷い無く豪快に鳴らし切って、器楽部分での不満は本当に全く無く(特にハーセスのトランペットは素晴らしい)、まさに名演だ。

かかる演奏を筆者としては、マーラーの交響曲の演奏様式の1つとして十分存在意義のあるものと考えており、好き嫌いは別として、ショルティの個性が発揮された名演と評価したいと考える。

シカゴ交響楽団も、ショルティのメリハリのある指揮にしっかりと付いていき、持ち得る実力を発揮した見事な演奏を行っているとともに、ソプラノのブキャナンやアルトのザカイをはじめとした声楽陣も最高のパフォーマンスを発揮していると評価したい。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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