2015年04月08日

ショルティ&シカゴ響のマーラー:交響曲第9番


この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。



マーラーの交響曲第9番は、マーラーが完成させた最後の交響曲だけに、その内容には途轍もない深みがある。

その本質的なテーマは、諸説はあるとは思うが、忍び寄る死への恐怖と闘い、そして、生への憧憬と妄執であると言えるだろう。

それだけに、他の交響曲では通用するアプローチでも、第9番に限っては、スコアに記された音符の表層だけをなぞっただけの演奏では、到底名演になり得ないとも言えるところだ。

ショルティは、ロンドン交響楽団とのスタジオ録音(1967年)に続いて、手兵シカゴ交響楽団とともに本盤に収められた2度目のスタジオ録音(1982年)を行っている。

旧盤は、スコアに記された音符の背後にあるものへの追求や彫りの深さといった点においては、いささか不足していると言わざるを得なかったが、新盤は、スーパー軍団と称されたシカゴ交響楽団の卓越した技量を見事に統率するとともに、楽曲の心眼にも鋭く踏み込んだ懐の深い円熟の名演である。

ここでのショルティは、客観性と主観性、それに近代的なリリシズムを見事に結びつけており、完成度の高いマーラーを聴かせている。

ショルティは音の威力と鮮やかなメリハリの効果を与えたきわめて明快な表現で、緊張感にあふれた演奏を行っていると同時に、オーケストラの技量が存分に発揮されており、いかにもショルティらしい現代的な感覚の演奏だ。

いずれにしてもシカゴ交響楽団というヴィルトゥオーゾ・オーケストラの機能を遺憾なく発揮させた1つの頂点を示したものとも言えよう。

まさに、本演奏は有名レストランでシカゴ交響楽団が出す豪華料理と高級ワインを味わうような趣きがあり、我々聴き手は、ただただレストランにおいて極上の豪華な料理と高級ワインを堪能するのみである。

もっとも、あまりの料理やワインの豪華さに、聴き手もほろ酔い加減で幻惑されてしまいそうになるが、本演奏は、それほどまでに空前絶後の「燦然たる音の饗宴」に仕上がっている。

ショルティ&シカゴ交響楽団のコンビは、なにを演奏した場合でも生き生きした動感をみなぎらせていたが、このマーラーも例外ではない。

冒頭から意志的な力とコントロールで均衡感の強い音楽を組み上げているが、同時に自在な呼吸に支えられた豊かな表情があり、成熟を感じさせる演奏だ。

かつてのワルターに代表される詩情豊かなゆったりしたマーラーとは別種の現代的な感性に根差したマーラーの出現であり、鮮明にして整然とした世界が生み出されてゆく。

しかしながらショルティは、マーラーを即物的にとらえ、非情に再現しているのではない。

マーラーが奏でた牴劉瓩紡个垢訖瓦らの共感、それが持続低音となってこの演奏を支えている。

精妙に再現されながら豊かな味わいに乏しい演奏に時折接することがあるが、精緻であると同時に動感を失わず、味わいにも富んでいるのがショルティだ。

ショルティのプロフェッショナリズムのもと、ホールの癖を逆手にとって強靭な個性を確立したシカゴ交響楽団。

両者の持ち味が遺憾なく発揮されたマーラーで、驀進するブルレスケばかりでなく、フィナーレの弦も表情豊か、あらためてこのコンビの凄さを感じる。

マーラーを古典として眺め、そこに自然な音楽像を作り出した感動的名演と言えよう。

聴き終えた後の充足感が、例えばバーンスタイン&コンセルトヘボウ・アムステルダム盤(1985年)などの名演に必ずしも引けを取っているわけでもなく、筆者としてはマーラーの演奏様式の一翼を担った名演として高く評価したいと考える。

ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング



フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室



classicalmusic at 20:37コメント(0)トラックバック(0)マーラー | ショルティ 

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
メルマガ登録・解除
 

Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

Categories
Archives
Recent Comments
記事検索
  • ライブドアブログ