2015年04月12日

ライナー&シカゴ響のマーラー:交響曲「大地の歌」[SACD]


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ライナー&シカゴ交響楽団によるマーラーの交響曲の録音は、本盤に収められた「大地の歌」と第4番の2曲しか遺されていない。

マーラーが今ほど演奏されなかった1950年代の貴重な録音で、ライナーにとっても珍しいレパートリーだった。

しかしながら、遺された演奏は、文学性に耽溺することなく、シカゴ交響楽団のパワフルで底力のある響きと木管や金管の見事なソロ・ワークで、作品の魅力をストレートに引き出したステレオ初期の名盤であり、いずれも一聴に値する名演であると評価したい。

R.シュトラウスと直接語らい、マーラーと同時代の空気を呼吸していたが故に、「私たちの次の世代こそが」演ずるべきと語ったライナーの貴重な録音で、優しさと構成感の強い(故に作品の本質とは齟齬も?)美演。

世紀末ウィーンを拠点とした後期ロマン派の音楽には精通しているので、決して勝手が分からぬ状況になっている演奏ではなく、独自の美意識に従って解釈されたマーラーである。

シカゴ交響楽団によるマーラーの演奏としては、後年のショルティによる全集が有名である。

同じハンガリー人であることもあり、表向きは類似しているとも言えるところだ。

両者ともに、全体を引き締まった造型で纏め上げるとともに、シカゴ交響楽団の卓越した技量を存分に駆使して、壮麗にオーケストラを鳴らしていくというアプローチを行っている。

もっとも、ショルティの演奏と大きく異なるのは、ライナーの演奏は、オーケストラの技量臭をいささかも感じさせないということであろう。

ライナー時代のシカゴ交響楽団には、特に高弦において顕著であるが艶やかな美しさに満ち溢れていたと言える。

したがって、本演奏においても、シカゴ交響楽団の持つ艶やかな音色が、ライナーの引き締まった剛直とも言える演奏に、適度の潤いと温かみを付加することに成功し、いささかも無機的には陥らない情感豊かな演奏に仕立て上げるのに大きく貢献している。

包容力溢れるカナダ出身のコントラルトのフォレスター、明るい音色で歌い上げるテノールのルイス、ともにワルターからも信頼を得ていた「大地の歌」の当時最高の解釈者2人の歌唱も聴きもので、最高の歌唱を披露していると高く評価したい。

そして、何よりも素晴らしいのはSACDによる極上の高音質である。

本演奏は1959年のスタジオ録音であるが、今から50年以上も前の録音とは思えないような鮮度の高い音質に生まれ変わっている。

当時のシカゴ交響楽団の滑らかな欧州サウンドが蘇っており、艶やかな音色が鮮明に再現されるというのはほとんど驚異的ですらある。

独唱とオーケストラの分離の良さも相俟って、あらためてSACDの潜在能力の高さを思い知った次第である。

いずれにしても、ライナーによる希少なマーラーの名演を、現在望み得る最高の高音質SACDで味わうことができるのを大いに歓迎したい。

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classicalmusic at 22:47コメント(0)トラックバック(0)マーラー | ライナー 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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