2015年04月13日

マッケラス&セント・ルカ管のモーツァルト:セレナード第10番「グラン・パルティータ」


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交響曲全集をも完成しているモーツァルトのスペシャリスト、マッケラスの何とも美しい《グラン・パルティータ》で、聴かせどころのツボを心得た演奏はこの曲の模範となり得る素晴らしさだ。

マッケラスはセント・ルカ管弦楽団の管楽器の首席奏者たちの実力を遺憾なく発揮させている。

豊かな響きと明快な表現とが両立した快演で、しかも読みが深く、表現に奥行きがある。

味わいと風格の点では過去の大指揮者たちの名演に並び、アンサンブルの切れ味や表現の緻密さは紛う方なく、現代の最高水準である。

マッケラスはセント・ルカ管弦楽団とハイドンの《ロンドン交響曲》のシリーズで録音していたが、そこで聴く両者の息はぴったりと1つになっていた。

その最大のポイントはセント・ルカ管弦楽団の奏者の多くが、オリジナル楽器と現代楽器の両方を奏すことができ、古楽器を通じて学んだ表現や解釈を、現代楽器の演奏に活かす技術をもっていることにある。

すなわち、現代楽器によりながらさりげなく古楽器演奏の成果があらわれているのである。

その姿勢はマッケラスも同じで、例えば彼は英国のジ・エイジ・オブ・インライトゥンメント管弦楽団のようなオリジナル楽器の楽団もよく指揮しており、先のプラハ室内管弦楽団とのモーツァルトの交響曲でも、またセント・ルカ管弦楽団とのハイドンでも、作曲者の時代の小型の編成と楽器配置をとり、音楽の作り方も、古楽オーケストラで得た経験に基づいたアイディアを種々生かしている。

この《グラン・パルティータ》にもまったく同じ姿勢が貫かれている。

例えば2つのメヌエット楽章で、ダ・カーポした際も、毎回反復を省略しないいき方もその1つである。

それも単に律儀に指定に準拠するとか、歴史的習慣に忠実にというのではなく、曲全体のプロポーションの中での効果を充分に意識しての反復となっている。

そのため前後の楽章との音楽的な対照が見事につき、「大きなパルティータ」としての曲の豊かな規模に、改めて耳の注意が向くことになる。

大人数の管楽器の音色の響きの生かし方も見事だ。

前述の古楽器をよく知っての現代楽器の扱いとともに、セント・ルカ管弦楽団がもともと肥大したサウンドで聴き手を威圧するのではなく、室内楽的に緻密な、本来の意味でよくハーモニーする演奏を目指す団体であることが、このセレナードにも無理のない自然のスケール感と、精妙で繊細なパートの交歓を生んでいるのだろう。

要所は確実におさえられているのだろうが、指揮者の体臭を良い意味で感じさせない。

セント・ルカ管弦楽団のメンバーたちの優れた技術と音楽性に乗りながら、まるでマッケラスも交じって管を吹いているような演奏だ。

こうした邪魔をしないやり方もヴェテランの味であろうか。

指揮者と楽員とが素晴らしく協調したみずみずしい楽興が、長い音楽全体に行き渡っており、フィナーレの沸き立つようなロンドの大団円の感動も一入(ひとしお)である。

テラークの優秀録音(1993年デジタル録音)と相俟って、同曲のベストの1つに掲げられる名盤と高く評価したい。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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