2023年03月30日

戦後バイロイトの頂点⛰️官能的な美しさ💑ドラマティックな迫力😮実演ならではの劇的な👨🏻‍🏫ベームのワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」(1966年ライヴ)


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本盤の演奏は、1966年のバイロイト音楽祭のライヴ録音である。

名指揮者ベームが最も充実した時代の演奏であると同時に、戦後のバイロイトの最も実り多かった時代の記録でもある。

ベームの遺したワーグナーのオペラの録音には、バイロイト祝祭管との歌劇「さまよえるオランダ人」の演奏(1971年)や、バイロイト祝祭管との楽劇「ニーベルングの指環」の演奏(1966、1967年)など数々の名演を遺しているが、それらの名演にも冠絶する至高の名演は、本盤に収められたバイロイト祝祭管との楽劇「トリスタンとイゾルデ」であると考える。

それどころか、同曲の他の指揮者による名演であるフルトヴェングラー&フィルハーモニア管による演奏(1952年)やクライバー&シュターツカペレ・ドレスデンによる演奏(1980〜1982年)と並んで3強の一角を占める超名演と高く評価したい。

そして、フルトヴェングラーが深沈とした奥行きの深さ、クライバーがオーケストラのいぶし銀の音色を活かした重厚さを特色とした名演であったのに対して、ベームによる本演奏は、実演ならではのドラマティックで劇的な演奏と言えるのではないだろうか。

そして、学者風でにこりともしない堅物の風貌のベームが、同曲をこれほどまでに官能的に描き出すことができるとは殆ど信じられないほどである。

ベームは、実演でこそ本領を発揮する指揮者と言われたが、本演奏ではその実力を如何なく発揮しており、冒頭の前奏曲からして官能的で熱き歌心が全開だ。

その後も、トゥッティに向けて畳み掛けていくような気迫や緊張感、そして切れば血が吹き出してくるような強靭な生命力に満ち溢れており、全盛期のベームならではのリズミカルな躍動感も健在だ。

テンポは若干速めであるが、隙間風が吹くような箇所は皆無であり、どこをとっても造型の堅固さと充実した響きが支配しているのが素晴らしい。

晩年の老いたベームとは異なる、真の巨匠としてのベームの逞しい音楽が渦巻いている。

バイロイトに集結した名歌手陣の、その感動的な歌唱の魅力は素晴らしく、現在聴いても少しも色褪せていない。

とりわけ、第2幕のイゾルデ役のビルギット・ニルソンとトリスタン役のヴォルフガング・ヴィントガッセンによる愛の熱唱は、ベームの心を込め抜いた指揮も相俟って、おそらくは同曲演奏史上でも最高峰の名演奏に仕上がっている。

その官能的な美しさといい、はたまたドラマティックな迫力といい、聴いていてただただ圧倒されるのみである。

そして、第3幕終結部のイゾルデの愛の死におけるビルギット・ニルソンによる絶唱は、もはや筆舌には尽くし難い感動を覚えるところだ。

これらの主役2人のほか、クルヴェナール役のエーベルハルト・ヴェヒター、ブランゲーネ役のクリスタ・ルートヴィヒ、そして、マルケ王役のマルッティ・タルヴェラによる渾身の熱唱も、本名演に大きく貢献していることを忘れてはならない。

また、その後大歌手に成長することになる、ペーター・シュライヤーが水夫役で登場しているのも、今となっては贅沢な布陣と言える。

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classicalmusic at 23:03コメント(2)ワーグナー | ベーム 

コメント一覧

1. Posted by 小島晶二   2023年03月30日 23:17
オペラを聴かない私ですが, この演奏だけはLP期に抜粋盤を持っていました。歌手陣の圧倒的な歌唱力に感嘆するとともに, ベームの落ち着いた指揮ぶりが印象に残りました。故吉田秀和氏は唯一無二の<トリスタンとイゾルデ>としてフルトヴェングラー盤を, 当のベームはレニーの後年の演奏を高く評価していたそうですが, 私もベーム盤は忘れられません。
2. Posted by 和田大貴   2023年03月31日 07:22
現代におけるワーグナー演奏のひとつの頂点を極めた記念碑的名演です。現在もなお、この「トリスタン」の与える感動は少しも色褪せていません。ベームの指揮は、強い集中力と熱気をはらんだ、きわめてドラマティックなもので、ワーグナーの音楽としてはやや硬質ですが、そのスケールの大きさと彫りの深さは、ベームならではのものです。ベームの凝集力の強い指揮は、ワーグナーのエッセンスを見事に抽出したもので、ライヴならではの熱気が伝わってきます。一点一画もゆるがせにしないベームの精妙な音づくりが、鮮明な響きのなかに見事によみがえっています。イゾルデとトリスタンの歌を聴くなら、戦後のバイロイトの象徴的存在だったニルソンとヴィントガッセンの共演がベストでしょう。フラグスタートよりも透明な声のニルソンと、今なお最高のトリスタンである真に英雄的なヴィントガッセンの情熱的な歌唱、またルートヴィヒのブランゲーネもすばらしく、各幕がそれぞれCD1枚ずつそっくり収められているのも大きなメリットです。ライヴながら周到な準備の下に行われた録音もすぐれています。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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