2015年04月15日

グード&フィッシャーのベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集


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ピアノ、指揮者、オーケストラ、そして録音の4拍子が揃った稀有の名演である。

先ずは、リチャード・グードのピアノであるが、その微動だにしない堂々たるピアニズムを高く評価したい。

グードは今の時代を代表する偉大なピアニストの1人であり、特にベートーヴェンの作品を弾かせたら当代最高峰と言っても過言ではないだろう。

グードはベートーヴェンの演奏によって名声を築き上げたピアニストで、今回の録音はグードとベートーヴェン作品との長年にわたる関係の延長として生まれたものと言えよう。

グードが弾くベートーヴェンのピアノ・ソナタは、コンサートでもディスクでも(グードはアメリカ出身ピアニストとして初めてベートーヴェンのソナタを全曲録音した)聴くたびに新しい発見がある。

そこには型にはまったマンネリ感が全くなく、音楽そのものと聴き手の間に自分自身を割り込ませようとする演奏家にありがちな尊大さがかけらも感じられない。

この"無私無欲"の才能は彼の師であるルドルフ・ゼルキンが体現していたのと同じものだ。

グードのピアノからは、まるで作曲家自身が鍵盤に向かい、たったいま頭に浮かんだばかりの楽想を表現しているかのように聴こえる。

峻厳たる造型の構築力にも秀でたものがあり、強靭な打鍵は地の底まで響かんばかりの圧巻の迫力がある。

スケールも雄大であり、その落ち着き払った威容には、風格さえ感じさせる。

他方、ピアノタッチは透明感溢れる美しさを誇っており、特に、各曲の緩徐楽章における抒情的なロマンティシズムの描出には抗し難い魅力を湛えている。

技量にも卓越したものがあるのだが、上手く弾いてやろうという小賢しさは薬にしたくも無く、1音1音に熱い情感がこもっており、技術偏重には決して陥っていない。

この風格豊かで、内容の濃いグードのピアノに対して、イヴァン・フィッシャーの指揮も一歩も譲っていない。

いわゆる古楽器奏法を行っているのだが、音楽は実に豊かに流れる。

強弱の絶妙な付け方といい、楽器の効果的な活かし方といい、フィッシャーの音楽性の豊かさや表現力の桁外れの幅の広さを大いに認識させられるところであり、これまでのベートーヴェンのピアノ協奏曲の演奏では聴かれなかったと言っても過言ではないほどの至高・至純の美しさを湛えている。

従来のピアノ協奏曲の録音だと、ピアノが主導権を握って指揮者&オーケストラは伴奏に徹するか、それとも、指揮者が大物であることもあって、ピアノがオーケストラの1つの楽器として埋没してしまうか、はたまた指揮者とピアニストが火花を散らし合ういわゆる競争曲になるケースが多いのだが、本盤の場合は、ピアノと指揮者&オーケストラが同格であり、両者が一体となって音楽を作り上げているのが素晴らしい。

ベートーヴェンのピアノ協奏曲全集も数え切れないほど聴いてきたが、この演奏は最近聴いた中では最上のものと言っていいだろう。

ブダペスト祝祭管弦楽団も、フィッシャーの指揮の下、最高のパフォーマンスを示している。

録音はこれまた極上であり、グードのピアノタッチや、フィッシャー&ブタペスト祝祭管弦楽団の最美の演奏を鮮明な音質で味わえる点も高く評価したい。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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