2016年03月23日

ブロムシュテット&シュターツカペレ・ドレスデンのモーツァルト:交響曲第40番、第41番「ジュピター」


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薫り高いドイツ音楽の王道をバックボーンにもつ名匠ブロムシュテットと名門シュターツカペレ・ドレスデンによる名盤の誉れ高いディスク。

モーツァルト後期の傑作交響曲のカップリングであるが、いずれも素晴らしい名演だ。

夕映えのようなモーツァルトを奏でさせたら天下一品として、ウィーン・フィルの好敵手のように讃えられてきた400年以上の伝統を誇るシュターツカペレ・ドレスデンによる極上のモーツァルト演奏である。

その音色だけで魅了されてしまうと絶賛された、モーツァルトの交響曲の最初に聴きたい最右翼盤と言えよう。

ブロムシュテットによる本演奏に、何か特別な個性があるわけではない。

奇を衒ったり、意表を突くような余計な装飾は一切無い、オーソドックスな演奏ではあるが、このオケの美しい音色をブロムシュテットは丁寧に引き出してくれる。

テンポも、楽器の鳴らし方も、全てが標準的と言えるが、このオーケストラの音色、アンサンブルは比類のないものであり、ここでもまるで指揮者なしのような、自然で癖のない音楽運びが、繰り返し聴きたくなる演奏の秘密であろう。

ブロムシュテットは、第40番においては、地に足がついたゆったりした荘重なインテンポで、重厚すぎると感じられる部分もあるが、この交響曲にある悲愴美を余計なことをしないで自然に引き出しているのが良い。

とりわけ有名な第1楽章第1主題の歌は胸に突き刺さる。

第41番「ジュピター」においても、ゆったりとしたテンポを基本にしたスケールの大きい演奏で、愚直に楽想を進めていくのみである。

19世紀的なモーツァルト観の現代版とも言えるロマンティックなものだが、表現自体は丁寧かつ自然な流れがあるので説得力がある。

モダン・オーケストラでならこのような解釈もこの交響曲の魅力の1つとして十分に楽しめる。

ブロムシュテットは、自己の解釈をひけらかすようなことは一切せずに、楽曲の魅力をダイレクトに聴き手に伝えることのみに腐心しているようにも感じられる。

これは、作品にのみ語らせる演奏ということができるだろう。

それでも、演奏全体から漂ってくる気品と格調の高さは、ブロムシュテットの指揮による力も多分に大きいものと考える。

ブロムシュテットとシュターツカペレ・ドレスデンの落ち着きのある演奏は、その爽やかで端正な音楽の流れが何ともすがすがしく、聴いていて心の安らぎを覚えるようである。

いずれにしても、モーツァルトの第40番や第41番「ジュピター」の魅力を深い呼吸の下に安心して味わうことができるという意味においては、トップの座を争う名演と言っても過言ではないと思われる。

こうした作品のみに語らせるアプローチは、時として没個性的で、無味乾燥な演奏に陥ってしまう危険性がないとは言えないが、シュターツカペレ・ドレスデンによるいぶし銀とも評すべき滋味溢れる重厚な音色が、演奏内容に味わい深さと潤いを与えている点も見過ごしてはならない。

刺激的な演奏、個性的な演奏も時には良いが、こうした何度聴いても嫌にならないどころか、ますます好きになって行く演奏、オーケストラの響きの素晴らしさに感心させられるばかりの演奏は他になかなかない。

適切なテンポで噛み締めるように演奏し、モーツァルトの個人的な情感を表現したというよりも交響曲としての陰影を克明に描いていると言えるものだが、心の中に自然としみ込んでくる演奏である。

しかし、これほどの演奏をするのは並大抵のことではない。

ここにブロムシュテットの音楽家としての力量と敬虔なクリスチャンである彼の作品に対する奉仕の姿勢がはっきりと読み取れるのではないだろうか。

表面の華麗さや古楽器などの面白味のあるモーツァルトとは正反対のモーツァルトであるが、誰が聴いても納得のいく普遍性を持つ演奏である。

残響の豊かなドレスデンのルカ教会における高音質録音もきわめて優秀であり、Blu-spec-CD化によって、さらに音場が拡がるとともに、音質により一層の鮮明さを増した点も高く評価したい。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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