2015年05月13日

ブレンデル&ラトルのベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集


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現在では既に引退してしまったブレンデルによる4度目のベートーヴェンのピアノ協奏曲全集であるが、当時、進境著しかったラトル&ウィーン・フィルという豪華なバックを伴って、ブレンデルによる全集中、最高の名演を成し遂げることになった。

まさに、ピアニストに指揮者やオーケストラと役者が揃った名演であると高く評価したい。

本全集より14年前の旧録音も名演であり、その方を高く評価する者もいるが、指揮者やオーケストラの芸格や、ブレンデルの円熟を考慮すれば、筆者としては、やはりこの最新の全集を最上位に置きたいと考える。

先ずは、ブレンデルのピアノを高く評価したい。

この理論派のピアニストの理屈っぽさについては、一部の批評家の間で酷評されているのは承知しているが、本盤では、そのような短所を聴きとることは皆無であり、音楽は実にスムーズに流れている。

それでいて、骨太のテクニックによる強靭にして重厚な打鍵は、怒れる獅子ベートーヴェンを見事なまでに体現しており、他方、緩徐楽章における抒情的表現にもいささかの不足もない。

4度目の全集は、いずれの楽曲も名演の名に値するが、やはり、最高峰の名演に君臨するのは、第5番「皇帝」であると考える。

ここでのブレンデルのピアノは実に模範的だ。

4度目の録音ということもあるのだろう、どこをとっても曖昧模糊な箇所はなく、堂々たるピアニズムで、威風堂々たるベートーヴェンを描いて行く。

とにかく、ブレンデルのピアノが実に堂々たるピアニズムであり、まさに「皇帝」の風格を兼ね備えているのが素晴らしい。

どこをとっても、力強い打鍵、自信に満ち溢れた堂々たるインテンポで一貫しており、それでいて、緩徐楽章の抒情豊かな演奏も、格調の高さを決して失うことはない。

このピアニストに特有の理屈っぽさは微塵もなく、楽曲の魅力だけが我々聴き手にダイレクトに伝わってくる。

加えて、ラトル&ウィーン・フィルの演奏が実に素晴らしい。

ラトルの指揮は、ブレンデルの巨匠風の表現に一歩も引けを取っておらず、ブレンデルのピアノともども重厚さの極みであり、このような巨匠風の表現を聴いていると、ベルリン・フィルの芸術監督として大活躍する現在において大きく開花している偉大な才能の萌芽を随所に感じることが可能である。

本盤の録音当時は、未だベルリン・フィルの芸術監督就任前であるが、こうした堂々たる指揮ぶりに、その後のラトルの前途洋々たる豊かな将来性が感じられる。

例えば、「第4」の第2楽章の重厚さ。

他の演奏だと、緩徐楽章であることを意識して、やたら軟弱な表現に終始してしまうケースも散見されるが、さすがにラトルはそのような落とし穴に陥ることは全くない。

終楽章における圧倒的な迫力もラトルならではのものであり、こういったところに、今日のラトルを予見させる才能があらわれていると言えよう。

ウィーン・フィルの美しい演奏も特筆すべきであり、ブレンデルのピアノやラトルの指揮に独特の潤いを付加し、この名演の価値を更に高めることに大きく貢献していることを見逃してはなるまい。

録音も通常CDでありながら、鮮明な音質であり、本盤の名演の価値を更に高める結果となっている。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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