2015年04月29日

カラヤン&ベルリン・フィルのベートーヴェン:交響曲第4番、R.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」(1985年ライヴ)


この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。



本盤はカラヤン&ベルリン・フィルのロンドンに於けるライヴ録音(1985年)で、曲目はベートーヴェンの交響曲第4番とR.シュトラウスの交響詩「英雄の生涯」。

両曲ともに、完熟期のカラヤン&ベルリン・フィルならではの素晴らしい名演と高く評価したい。

まずは、ベートーヴェンの「第4」であるが、リチャード・オズボーンによる偉大な伝記を紐解くと、カラヤンはこの「第4」の指揮に相当手こずったとの記述がある。

確かに、遺されたスタジオ録音を聴く限りにおいては、凡演ではないものの、どこか食い足りないというか、カラヤンならばもう一段上の演奏ができるのではないかと思ったりしたものである。

しかしながら、本盤に収められた1985年のロンドン・ライヴ盤は素晴らしい名演であり、カラヤンも晩年に至って漸く理想の「第4」の演奏を実現できたのではないか。

やや遅めのテンポをとってはいるが、ダイナミックレンジの幅広さや抒情豊かな箇所の情感溢れる歌い方など、いい意味でのバランスのとれた至高の演奏に仕上がっている。

カラヤンはR・シュトラウスを十八番にしていたが、とりわけ交響詩「英雄の生涯」に私淑していたと言える。

スタジオ録音では1959年盤(DG)、1974年盤(EMI)、1985年盤(DG)の3種が存在しており、ライヴ録音でもモスクワ盤(1969年)や、ロンドン盤(1972年及び本盤に収められた1985年)など複数が存在している。

前述した演奏のいずれもがベルリン・フィルとのものであることが特徴と言えるところであり、カラヤンが同曲を演奏するにあたってはオーケストラの機能性を重視していたことがよく理解できるところだ。

カラヤンはライヴでこそその真価を発揮する指揮者であり、前述の3種のスタジオ録音は素晴らしい超名演であるが、ここでは本盤を含め3種あるライヴ録音の間の比較を軸に論じていくこととしたい。

1969年盤はモスクワでのライヴということもあって一期一会的な豪演で、シュヴァルベのヴァイオリンソロはいかにもカラヤン好みの官能的な美しさを誇ってはいるものの、録音があまり冴えず荒々しい響きが際立ち、オーケストラの音色はいわゆるカラヤンサウンドで満たされているとは言い難い面があり、カラヤンの個性が最良に発揮されているとは言い難いとも言える。

これに対して1972年ロンドンでのライヴ盤は、カラヤン色が濃い演奏と言える。

シュヴァルベのヴァイオリンの官能的な美しさは相変わらずであるが、オーケストラは肉厚の弦楽合奏、ブリリアントな金管楽器の朗々たる響き、桁外れのテクニックを示す木管楽器、雷鳴のように轟くティンパニなどをベースに流麗なレガートが施されるなど、いわゆるカラヤンサウンドが満載であり、徹頭徹尾カラヤン色に染め上げられた演奏に仕上がっている。

これに対して本演奏(1985年ロンドン・ライヴ)は、カラヤンの統率力の衰えから、カラヤンサウンドを聴くことができるものの、1972年盤のように徹頭徹尾ということにはなっていない。

したがって、音のドラマの構築という点では1972年盤よりも劣っていると言わざるを得ないが、本演奏にはカラヤンが自らの人生を自省の気持ちを込めて顧みるような趣きが感じられるところであり、枯淡の境地にも通じるような味わい深さといった面では、1969年盤や1972年盤をはるかに凌駕していると言えるだろう。

これには、ヴァイオリンソロが官能的な美しさを誇るシュヴァルベから質実剛健なシュピーラーに変わったのも大きいと考えられる。

いずれにしても、これら3種の名演の比較については困難を極めるところであり最終的には好みの問題になるとは思うが、筆者としては、カラヤンが最晩年に至って漸く到達した枯淡の境地、至純の境地を味わうことができる本演奏を随一の至高の超名演と高く評価したい。

ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング



フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室



classicalmusic at 22:44コメント(0)トラックバック(0)カラヤン | R・シュトラウス 

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
メルマガ登録・解除
 

Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

Categories
Archives
Recent Comments
記事検索
  • ライブドアブログ