2015年06月27日

F=ディースカウ&エンゲルのシューベルト:歌曲集第3集[SACD]


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フィッシャー=ディースカウが、ピアニスト、カール・エンゲルとのコラボレーションによるシューベルトの歌曲集。

先般のEMIによる過去の名盤のSACD化シリーズにおいては、若き日のフィッシャー=ディースカウによる一連のシューベルトの歌曲集も採り上げられることになった。

伴奏をムーアからエンゲルに代えてのシューベルト歌曲集第3巻は、シラーの詩による大作『水に潜る者』をはじめ、耳にする機会の少ない力作バラードを収めており、シューベルト・アルバムとしても珍しい企画と言えよう。

フィッシャー=ディースカウは、紛れもなく独墺系歌曲の最高の歌い手の1人であると言えるが、その最高の名唱とされているのは、何と言っても1970年代にジェラルド・ムーアと組んでスタジオ録音(DG)したシューベルトの3大歌曲集と言えるのではないだろうか。

本盤に収められたシューベルトの歌曲の演奏は、それよりも約20年ほど前の若き日の歌唱ということになるが、モノラル録音という音質面でのハンディはあるものの、1970年代の名唱とは違った意味で、素晴らしい名唱と評価したいと考える。

というのも、フィッシャー=ディースカウの歌唱は、あまりにも巧いために、後年の歌唱においては、その巧さが鼻につくケースも散見されるところであるが、本演奏においては、若さ故の気迫や熱き生命力が全体に漲っており、いささかも技巧臭を感じさせないのが素晴らしいと言えるからだ。

そして、勢い一辺倒の内容のない歌唱には陥っておらず、どこをとっても、シューベルトの音楽の素晴らしさ、美しさを心行くまで堪能させてくれるのが見事である。

本盤に収められた歌曲は、いずれもシューベルトの歌曲の中では必ずしも有名なものとは言い難いものであると言えるが、それでも各歌曲の聴かせどころのツボを心得たいい意味での演出巧者ぶりは、本演奏当時の若き日より健在であると言えるところであり、まさに非の打ちどころのない名唱に仕上がっていると言っても過言ではあるまい。

本盤のピアノ演奏は、いつものジェラルド・ムーアではなくカール・エンゲルがつとめているが、カール・エンゲルによるピアノ演奏も、シューベルトの楽曲に特有の寂寥感に満ち溢れた美しい旋律の数々を情感豊かに描き出しており、フィッシャー=ディースカウによる名唱をより引き立てるのに大きく貢献しているのを忘れてはならない。

音質は、モノラル録音というハンディもあって、従来CD盤の音質は、いささか鮮明さに欠ける音質であり、時として音が歪んだり、はたまた団子のような音になるという欠点が散見されたところであった。

ところが、今般、ついに待望のSACD化が行われることによって大変驚いた。

従来CD盤とは次元が異なる見違えるような、そして1950年代のモノラル録音とは到底信じられないような鮮明な音質に生まれ変わったと言える。

フィッシャー=ディースカウの息遣いやカール・エンゲルのピアノタッチが鮮明に再現されるのは殆ど驚異的であり、あらためてSACDの潜在能力の高さを思い知った次第である。

いずれにしても、フィッシャー=ディースカウ、そしてカール・エンゲルによる素晴らしい名演を、SACDによる高音質で味わうことができるのを大いに歓迎したいと考える。

なお、当たり前のことではあるが、前述の3大歌曲集のSACD化に際して、扱いにくい紙パッケージに封入したことや対訳を省略したユニバーサルに対して、本盤では通常パッケージで、なおかつ対訳が付いていることについても、この場を借りて評価をしておきたい。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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