2015年04月21日

サヴァリッシュ&ロンドン・フィルのブラームス:交響曲全集、他


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ドイツ音楽の正統を伝える数少ない巨匠であったサヴァリッシュによる重厚長大かつホットなブラームス演奏をまとめたボックス・セット。

NHK交響楽団との数多くの公演で我が国でも非常に有名なサヴァリッシュは、とある高名な音楽評論家などが著しく低評価を与えていたこともあり、敬遠されがちという印象があるが、実際にNHKホールにその実演に接した音楽愛好家は彼の音楽性、理知的でありながら時に踏み外して情熱的になる演奏は高く評価されている。

そのように実力に関しては申し分のないサヴァリッシュであるが、人気の方については今一つと言わざるを得ない。

我が国のオーケストラを頻繁に指揮する指揮者については、過小評価されてしまうという不思議な風潮があるのはいかがなものかとも思うが、それでもサヴァリッシュの不人気ぶりには著しいものがあると言わざるを得ない。

確かに、サヴァリッシュが外国の一流オーケストラを指揮した名演というのは殆ど存在していないというのは事実である。

唯一、現在でも素晴らしい名演とされているのは、シュターツカペレ・ドレスデンを指揮してスタジオ録音(1972年)を行ったシューマンの交響曲全集であるというのは衆目の一致するところだ。

ただし、各交響曲のいずれもが様々な指揮者によるそれぞれの楽曲の演奏中のベストの名演ということではなく、全集全体として優れた演奏ということであり、まさに最大公約数的な名全集に仕上がっていたところである。

これはいかにもサヴァリッシュらしいとも言えるのではないだろうか。

サヴァリッシュは、史上最年少でバイロイト音楽祭に登場するなど、きわめて才能のある指揮者として将来を嘱望されていたにもかかわらず、その後はかなり伸び悩んだと言えなくもないところだ。

膨大な録音を行ってはいるが、前述のシューマンの交響曲全集以外にはヒット作が存在しない。

いい演奏は行うものの、他の指揮者を圧倒するような名演を成し遂げることが殆どないという、ある意味では凡庸と言ってもいいような存在に甘んじていると言っても過言ではあるまい。

本盤に収められたブラームスの交響曲全集は、目立った名演を殆ど遺していないサヴァリッシュとしては、前述のシューマンの交響曲全集に次ぐ名全集と言えるのではないだろうか。

確かに、個々の交響曲の演奏に限ってみれば、いずれの交響曲についても他に優れた演奏があまた存在していると言えるが、全集全体として見ると、水準以上の名演が揃った優れたものと言えるところだ。

サヴァリッシュの演奏は、鋭敏なバランス感覚と安全運転だけに終始しない即興性の見事な融合に特徴を見出せる。

確かに、バランス感覚が出すぎる演奏に出くわすと「安全運転」「生真面目」「平均点」という評価になることがある。

しかし、即興性が見事なバランス感覚の上に立ち現れたとき、我々はドイツ本流の指揮者による管弦楽を聴く醍醐味をこれでもか、と堪能することができる。

スケールが大きく、一点一画を揺るがせにしない、しかし全く窮屈でない、という過去のどんな指揮者の演奏に優るとも劣ることはあるまい。

堅固な造型美と重厚かつ剛毅さを兼ね備えたいかにもドイツ風の硬派の演奏と言えるが、かかる芸風はブラームスの交響曲の性格に見事に符号していると言えるところであり、ロンドン・フィルの渾身の名演奏も相俟って、素晴らしい名全集に仕上がっていると言えるだろう。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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