2015年05月16日
カラヤン&ベルリン・フィルのオペラ間奏曲集[SACD]
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2010年よりユニバーサルが開始したシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD化シリーズであるが、当初は、これまでに既にハイブリッドSACD盤で発売されていたものの焼き直しに過ぎなかった。
しかしながら、2011年6月より、これまで一度もSACD化されていない録音を採り上げており、フルトヴェングラー、ベーム、アルゲリッチ、クーベリック、ヨッフムと続き、今般はついに待望のカラヤンの登場となった。
カラヤンのシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD盤としては、既にベートーヴェンの交響曲第3番及び第4番、そしてチャイコフスキーの第3番ほかが収められた2枚が既発売であり、今後、どの演奏をシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD化するのか大変興味深いところであったが、管弦楽の小品集5枚を選定したのには大変驚かされたところだ。
もっとも、意表をつく選定ではあると言えるが、カラヤンは大作のみならず、管弦楽曲の小品にもいささかも手を抜かずに真剣勝負で演奏に臨み、圧倒的な名演の数々を遺しただけに、かかる選定もカラヤンの芸術の一面を知る意味においては妥当であると言うべきであろう。
本盤には、1967年にスタジオ録音されたオペラ間奏曲集が収められている。
本盤に収められた各楽曲の演奏の印象を一言で言うと巧い、そしてただただ美しいということである。
1967年と言えば、まさにカラヤン、そしてベルリン・フィルの全盛時代に相当する。
かかる全盛期のカラヤン&ベルリン・フィルは、分厚い弦楽合奏、ブリリアントなブラスセクションの響き、桁外れのテクニックと美音を振り撒く木管楽器群、雷鳴のようなティンパニなどが融合し、一糸乱れぬ鉄壁のアンサンブルを駆使した圧倒的な音のドラマとも言うべき演奏の数々を行っていた。
カラヤンは、流麗なレガートを施すことによって曲想を徹底して磨き抜いたところであり、こうして磨き抜かれたベルリン・フィルの美しい音色は、いわゆるカラヤン・サウンドとも称されていたところだ。
本盤に収められた各楽曲の演奏においてもそれは健在であり、どこをとってもいわゆるカラヤン・サウンドに満たされた極上の美演に仕上がっていると言っても過言ではあるまい。
そして、これらの各楽曲におけるカラヤンの聴かせどころのツボを心得た語り口の巧さは筆舌に尽くし難いものがあり、まさに本盤に収められた各楽曲の演奏は、あらゆる意味で非の打ちどころがない圧倒的な超名演と高く評価したいと考える。
どの楽曲の演奏についても、前述のように巧い、そして美しいという評価が当てはまるが、特に、タイスの瞑想曲。
同曲の演奏におけるミシェル・シュヴァルベのヴァイオリン・ソロは、もはやこの世のものとは思えないような美しさであり、カラヤンによる心憎いばかりの表情づけの巧さも相俟って、身も心も蕩けてしまいそうな極上の絶対美の世界を構築しているとさえ言えるだろう。
シュミットの歌劇「ノートル・ダム」間奏曲の重厚な弦楽合奏の滴るような美しさは、全盛期のカラヤン&ベルリン・フィルだけに描出可能な至高の名演奏と言っても過言ではあるまい。
本盤については、これまでリマスタリングが行われるなど、高音質化の不断の取り組みが行われてきたが、今般、ついにシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD化が行われることによって、従来CD盤をはるかに凌駕するおよそ信じ難いような圧倒的な高音質に生まれ変わったところだ。
本シングルレイヤーによるSACD&SHM−CD盤の艶やかな鮮明さや臨場感にはただただ驚愕するばかりであり、あらためて当該シングルレイヤーによるSACD&SHM−CD盤の潜在能力の高さを思い知った次第である。
いずれにしても、カラヤン&ベルリン・フィルの全盛期の極上の美演を、現在望み得る最高の高音質を誇るシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD盤で味わうことができるのを大いに喜びたい。
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