2015年04月22日

ライナー&シカゴ響のドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」、他[SACD]


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本盤は、全盛時代のライナー&シカゴ交響楽団がいかに凄い演奏を繰り広げていたのかを窺い知ることができるCDである。

それは何よりも、SACDによる鮮明な高音質によるところが大きい。

本演奏は1957年のスタジオ録音であるが、今から55年以上も前の録音とは到底思えないような鮮度の高い音質に生まれ変わったのは殆ど驚異的であり、あらためてSACDの潜在能力の高さを思い知った次第だ。

これを聴くと、当時のライナー&シカゴ交響楽団は、卓越した技量もさることながら、とりわけ弦楽合奏の音色に独特の艶やかさがあることがよくわかるところであり、単なる技量一辺倒の演奏を行っていたのではないことが理解できるところだ。

もちろん、技量には卓越したものがあり、鉄壁のアンサンブル、ブラスセクションのブリリアントな響き、唖然とするようなテクニックを有した木管楽器群など、当時のシカゴ交響楽団の演奏の凄さを味わうことが可能である。

演奏内容も、素晴らしい名演と高く評価したい。

ライナーが残した唯一の「新世界より」は、聴き慣れた作品からも新たな魅力を引き出し、音楽的な純度を際立たせるライナーの手腕が発揮された名演。

ドヴォルザークの音楽に特有のローカルな雰囲気を感じさせず、絶対音楽としての美しさを極めた演奏で、特にイングリッシュ・ホルンの名ソロが聴ける第2楽章の静かな美しさは、惚れ惚れするほど見事。

ライナーは、ドヴォルザーク特有の民族的な粉飾を脱し、純音楽的に極められた演奏を繰り広げており、終始速めのテンポで引き締まった演奏を心掛けているように思われる。

この演奏を聴いて真っ先に念頭に浮かんだのが、トスカニーニ&NBC交響楽団による演奏(1953年)だ。

トスカニーニの「新世界より」を、筆者はこの交響曲のほぼ理想的な再現と考えているが、この演奏は、残念ながらモノーラル録音であり、XRCD化されても、音質的にどうしても古さを感じさせずにはおかない。

しかし、トスカニーニに限りなく肉迫したライナーの名演がステレオ録音で遺されていることは、私たちにとって大きな救いであると言って良いだろう。

本演奏では、さすがにトスカニーニの演奏のような即物的な表現に徹し切れているとは言い難いが、それでも純音楽的に徹したストレートな表現は、まさにトスカニーニの演奏の系列に連なる演奏と言っても過言ではあるまい。

シカゴ交響楽団の完璧なアンサンブルと重厚で引き締まったサウンドを生かして綴られたこの演奏は、揺るぎない造型的美観や、異常なまでに張り詰めた緊迫感を特色とした恐ろしく純度の高い名演であり、そこに繰り広げられている少しの妥協もない磨き上げられた表現は、何度接しても常に新鮮な感動を授けてくれるのである。

そして、とりわけ金管楽器やティンパニなどによる最強奏は、壮絶ささえ感じさせるほどの圧巻の迫力を誇っている。

もっとも、こうした壮絶な演奏に適度の潤いと温もりを与えているのが、前述のような当時のシカゴ交響楽団が有していた弦楽合奏の艶やかな音色であり、その意味では、本演奏は、ライナーとシカゴ交響楽団の黄金コンビだけに可能な名演とも言えるだろう。

いずれにしても本盤は、指揮者、オーケストラ、演奏内容そして録音の4拍子が高水準で揃った名SACDと高く評価したい。

本盤にはその他、躍動感あふれ、楽しい気分が横溢する「謝肉祭」「売られた花嫁」「バクパイプ吹きのシュヴァンダ」からのポルカとフーガが併録されている。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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