2015年04月22日

カラヤン&ベルリン・フィルのモーツァルト:ディヴェルティメント第15番、ストラヴィンスキー:春の祭典(1972年ライヴ)


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カラヤンの生誕100周年を契機に、様々なライヴの名演盤が発掘されているが、本盤も、カラヤンがライヴの人であることを証明する素晴らしい名演だ。

近年発売された様々な伝記でも明らかにされているが、カラヤンは、スタジオ録音とコンサートを別ものと捉えていた。

そして、コンサートに足を運んでくれる聴者を特別の人と尊重しており、ライヴでこそ真価を発揮する指揮者だったことを忘れてはならない。

カラヤン&ベルリン・フィルの全盛時代は一般的に1960年代及び1970年代と言われているが、この当時の弦楽合奏は鉄壁のアンサンブルと独特の厚みがあり、いわゆるカラヤンサウンドの基盤を形成するものであった。

本ライヴ録音はまさにその全盛期の真っ只中に演奏されたものだけに、いわゆるカラヤンサウンド満載の演奏と言える。

冒頭のモーツァルトからして、絶妙のレガートによる極上の美演が繰り広げられており、ディヴェルティメントのような軽快な楽曲を超一流の高貴な芸術作品に仕立て上げているというのは、カラヤンならではの魔術という他はない。

一糸乱れぬアンサンブルを駆使した重量感溢れる分厚い弦楽合奏は圧巻の迫力を誇っていると言えるところであり、カラヤンは、このような重厚な弦楽合奏に流れるようなレガートを施すことによって、曲想を徹底して美しく磨き抜いている。

これによって、おそらくは同曲演奏史上最も重厚にして美しい演奏に仕上がっていると言えよう。

古楽器奏法やピリオド楽器の使用が主流となりつつある今日においては、このようなカラヤンによる重厚な演奏を時代遅れとして批判することは容易である。

しかしながら、ネット配信の隆盛によって新譜CDが激減し、クラシック音楽界に不況の嵐が吹き荒れている今日においては、カラヤンのような世紀の大巨匠が、特にディヴェルティメントのようなモーツァルトとしては一流の芸術作品とは必ずしも言い難い軽快な曲を、ベルリン・フィルの重量感溢れる弦楽合奏を使って大真面目に演奏をしていたという、クラシック音楽界のいわゆる古き良き時代(それを批判する意見があるのも十分に承知しているが)が少々懐かしく思われるのもまた事実であり、このような演奏を聴くとあたかも故郷に帰省した時のようにほっとした気持ちになるというのも事実なのだ。

このように賛否両論はある演奏であると言えるが、筆者としては、同曲を安定した気持ちで味わうことができるという意味において、素晴らしい名演と高く評価したい。

ストラヴィンスキーの「春の祭典」は、同曲演奏史上でもトップの座に君臨する超弩級の名演である1978年ライヴ録音(パレクサ盤)に連なる確かな道程を感じることのできる名演である。

「春の祭典」は、まずは管楽器奏者の抜群の技量に圧倒される。

これがライヴ録音なんて信じられない。

弦楽合奏の厚みも桁外れのド迫力であり、こうしたベルリン・フィルの猛者を圧倒的な統率力で纏め上げていくカラヤンの凄さ。

しかも、技術偏重には陥らず、音色に妖気のようなものが漂っているところが見事であり、「春の祭典」の本質を射抜いた史上初の演奏と言っても過言ではないのではないか。

名うての名プレーヤーが揃うベルリン・フィルを、カラヤンが圧倒的な統率力でドライブし、緩急自在のテンポを駆使して、難曲の代表格である同曲の聴かせどころを心得た心憎いまでの巧みな演奏を行っており、同曲を実にわかりやすく聴かせてくれる点を高く評価したい。

音質は、1972年のライヴとは思えないくらい鮮明である。

カラヤンのライヴ録音は、今後もいろいろと発掘されていくと思われるが、おそらくは、それらのライヴ録音によって、カラヤンの凄さがあらためて再認識されるのではないかと大いに期待している次第だ。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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