2015年05月02日

バーンスタインのマーラー:交響曲全集[DVD]


この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。



バーンタインの演奏するマーラーは、「人類の遺産」と称しても過言ではなく、バーンスタインこそが史上最大のマーラー指揮者であることは論を待たないところだ。

バーンスタインは、本DVD作品を含めて3度にわたってマーラーの交響曲全集を録音した唯一の指揮者でもあるが(最後の全集は残念ながら一部未完成)、そのいずれもが数多くのマーラーの交響曲全集が存在している現在においてもなお、その輝きを失っていないと言えるだろう。

本盤に収められたマーラーの交響曲全集は、バーンスタインによる2度目のものに相当する。

収録は1970年代に行われており、オーケストラは、ウィーン・フィルの起用を軸としつつも第2番においてロンドン交響楽団、「大地の歌」においてイスラエル・フィルを起用している。

各オーケストラの使い分けも実に考え抜かれた最善の選択がなされていると評価したい。

このようなオーケストラの起用の仕方は、最初の全集が当時音楽監督をつとめていたニューヨーク・フィルを軸として、第8番はロンドン交響楽団が起用したこと、3度目の全集においては、ウィーン・フィル、コンセルトへボウ・アムステルダム、そしてニューヨーク・フィルの3つのオーケストラを起用したこととも共通している。

バーンスタインのマーラー演奏はいずれも極めてドラマティックなものだ。

バーンスタインは、かつてニューヨーク・フィルの音楽監督の時代には、いかにもヤンキー気質の爽快な演奏の数々を成し遂げていたが、ヨーロッパに拠点を移した後、ウィーン・フィル等を叱咤激励してマーラーの音楽を懸命になって啓蒙していたところだ。

変幻自在のテンポ設定や思い切った強弱の変化、そして猛烈なアッチェレランドを駆使するなど、その劇的な表現は圧倒的な迫力を誇っており、聴いていて手に汗を握るような興奮を味わわせてくれると言えるだろう。

こうしたバーンスタインのマーラー演奏のスタイルは最晩年になってもいささかも変わることがなかったが、晩年の3度目の全集では、より一層表現に濃厚さとスケールの大きさ、そして楽曲の心眼に鋭く切り込んでいくような奥行きの深さが加わり、他の指揮者による演奏を寄せ付けないような至高の高みに達した超名演に仕上がっていたと言える。

本盤に収められた演奏は、50代の壮年期のバーンスタインによるものであるだけに、3度目の全集のような至高の高みには達してはいないが、前述のようなドラマティックな表現は健在であり、とりわけトゥッティに向けて畳み掛けていくような気迫や強靭な迫力においては、1度目や3度目の全集をも凌駕しているとさえ言えるだろう。

ストレートで若干荒削りな演奏と言えなくもないが、スコアに記された音符の表層をなぞっただけの洗練された美を誇る演奏などに比べれば、よほど本演奏の方がマーラーの本質を捉えていると言えるとともに、我々聴き手に深い感動を与えてくれると言えるだろう。

マーラーの交響曲のテーマは、楽曲によって一部に例外はあるものの、基本的には死への恐怖と闘い、そしてそれと対置する生への妄執と憧憬であると考えるが、バーンスタイン以上にそれを音化し得た演奏は、テンシュテットによる最晩年の演奏以外には存在しないと言っても過言ではあるまい。

本全集の各演奏こそは、史上最大のマーラー指揮者であったバーンスタインがヨーロッパに軸足を移してから漸く成し得た究極の名演奏と言っても過言ではあるまい。

そして在りし日のウィーン・フィルとバーンスタインとの蜜月時代を確認するには、最良の1組と言えるだろう。

いずれにしても、本全集は、稀代のマーラー指揮者であったバーンスタインによる映像作品による全集として、今後ともその存在価値をいささかも失うことがない名全集と高く評価したい。

ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング



フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室



classicalmusic at 20:53コメント(0)トラックバック(0)マーラー | バーンスタイン 

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
メルマガ登録・解除
 

Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

Categories
Archives
Recent Comments
記事検索
  • ライブドアブログ