2023年03月22日

巨匠たちの夢の共演🥳オイストラフ&ロストロポーヴィチ&リヒテル&カラヤン🤴🏻ベートーヴェン:三重協奏曲🎆オイストラフ&ロストロポーヴィチ&セル🤯ブラームス:二重協奏曲


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ベートーヴェンの三重協奏曲はベートーヴェンが作曲した労作であり、一部の評論家が指摘しているような駄作とは思わないが、それでもピアノ協奏曲やヴァイオリン協奏曲などと比較するといささか魅力に乏しいと言わざるを得ないのではないだろうか。

もちろん、親しみやすい旋律などにも事欠かないと言えなくもないが、よほどの指揮者やソリストが揃わないと同曲の真価を聴き手に知らしめるのは困難と言えるだろう。

したがって、本演奏の関心は、もっぱら演奏者とその演奏内容の方に注がれることになる。

カラヤンとロシアの偉大な3人のソリストという超豪華な布陣は、ネット配信の隆盛などによりクラシック音楽界が不況下にある現代においては望むべくもない、巨匠たちの夢のような共演と言えるだろう。

ましてやオーケストラが世界最高のベルリン・フィルであり、三重協奏曲のような楽曲ではもったいないような究極の布陣とも言える。

そして、本演奏が凄いのは(裏方では微妙な意見の食い違いがあったようであるが、我々は遺された録音を聴くのみである)、4巨匠とベルリン・フィルがその能力を最大限に発揮しているところであろう。

カラヤン&ベルリン・フィルは、この黄金コンビの全盛時代ならではのオーケストラ演奏の極致とも言うべき重厚にして圧倒的な音のドラマの構築を行っているし、ロストロポーヴィチの渾身のチェロ演奏は、我々聴き手の肺腑を打つのに十分な圧巻の迫力を誇っている。

オイストラフのヴァイオリンも、ロストロポーヴィチのチェロに引けを取らないような凄みのある演奏を展開しているし、リヒテルのピアノも、本名演の縁の下の力持ちとして、重心の低い堂々たるピアニズムを展開している。

いずれにしても、オイストラフ、ロストロポーヴィチ、リヒテル、カラヤンが白熱の演奏を繰り広げる凄い演奏であるし超名演に値すると言える。

そして、このような凄い超名演を持ってして漸くこの三重協奏曲の魅力が聴き手に伝えられたというのが正直なところであり、その意味では、本演奏こそが同曲の唯一無二の名演と言えるのかもしれない。

もっとも、本演奏は狭い土俵の上で、天下の大横綱が5人いてお互いに相撲をとっているようなイメージとも言えるところであり、このような5人の大横綱には、もう少し広い土俵で相撲をとって欲しかったというのが正直なところだ(と言っても、広い土俵たり得る三重協奏曲に変わる作品は存在しないが)。

他方、ブラームスの二重協奏曲は最晩年の名作であり、ベートーヴェンとは異なる魅力作である。

オイストラフとセルによるヴァイオリン協奏曲が秀逸であったことからも分かるように、その延長線にあるといえる素晴らしい名演だ。

全盛期のオイストラフとロストロポーヴィチによる火花が散るような渾身の演奏は我々聴き手の度肝を抜くのに十分な圧倒的な迫力を誇っているし、最晩年になって鉄壁のアンサンブルに人間味溢れる温かみが加わったセル&クリーヴランド管弦楽団による入魂の名演奏も素晴らしい。

本演奏こそは、オイストラフとロストロポーヴィチ、セルの最高の美質が溶け合ったブラームスであり、同曲演奏史上トップの座を争う至高の超名演と高く評価したい(もちろん、三重協奏曲も同曲演奏史上最高の超名演である)。

前者はモントルー国際レコード賞、後者は1971年度レコード・アカデミー賞と仏ADFディスク大賞を受賞している。

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classicalmusic at 15:01コメント(2)オイストラフ | ロストロポーヴィチ 

コメント一覧

1. Posted by 小島晶二   2023年03月22日 19:59
5 超豪華メンバーによる2つの協奏曲,悪かろう筈が有りませんね。特に一期一会となったトリプルコンチェルトはオーケストラと3人の奏者のバランスと遠近感が見事に融合した快演。一方,ダブルコンチェルトは不滅の名盤100で上位に選ばれた不朽の名演と言えましょう。小石忠男氏の解説によれば,雪解けムードの頃,12年もの歳月を経てロシアの3人の名手招聘という世紀の企画がこの録音の実現を可能にしました。トリプルコンチェトを彩る彼らに相応しいオーケストラとしてグラモフォン専属だったベルリンフィルが選ばれ,契約はEMIに譲渡されます。当初オイストラフとリヒテルの意見が合わず,年少のロストロポ―ヴィッチが調整役に回ったそうですが,本番では打ち解けたムードで録音が進められました。
当初第5交響曲として計画され,結果的にヨアヒムとの和解の象徴となったダブルコンチェルトの第1楽章第1主題はヴィオッティの協奏曲22番の冒頭部に似ています。私も大好きな22番はヨアヒムが好み,ブラームスもべートーヴェンの協奏曲より意識していたと伝えられています。EMIはこの頃メロディアと契約して旧ソ連の巨匠たちと協奏曲の一連の録音を行っており,本盤に加えてオイストラフやリヒテルのブラームスやギレリスのベートーヴェンが録音されます。しかしその後,セル,オイストラフの急死やロストロポ―ヴィッチの活動禁止等で終止符を打つことに成りました。短い間に録音されたこれらの演奏は何れも傑作揃いで,ファンには堪えられないでしょう。私が所有しているCDはEMI決定盤1300という廉価盤で,日本の岡崎好雄氏に依るリマスター盤です。
2. Posted by 和田大貴   2023年03月22日 20:48
ベートーヴェンの三重協奏曲には、独奏者に名人級の大物を起用した演奏と、ピアノ・トリオをそっくりあてた演奏とがありますが、これは前者のタイプで、名人芸の醍醐味を堪能するという点では、まことにうってつけのディスクです。リヒテル、オイストラフ、ロストロポーヴィチといった超一流の名人を揃えた演奏で、3人の独奏者とカラヤンとの間に、目の見えない火花が散っているかのような錯覚をおこさせるほど、異様な緊張感に包まれた熱演です。ことにカラヤンの指揮が素晴らしく、雄大なスケールと円熟味にあふれた生命力が全曲に漲っています。ソリストでもロストロポーヴィチの雄弁さが聴く者の度胆を抜くのに充分です。オイストラフは、若い頃の贅肉を落として、敏感なデリカシーを見せ、リヒテルはアンサンブルのまとめ役を楽しんでるかのようです。精悍で少しのたるみもない第1楽章の造形、3人のソリストが濃密なアンサンブルを聴かせる第2楽章、堂々たる風格にまとめあげられた第3楽章の力感など、まさに記念碑的演奏たるゆえんでしょう。ブラームスも3人の巨匠の夢の共演として有名なアルバムです。3大家のまさに円熟の極みの時期の、この二重協奏曲の古今の録音の中でも最高峰に位置する演奏です。セルの確然たる造形力が全体を統率し、ロストロポーヴィチが雄弁無比に歌を誘導、オイストラフの見事な張りと艶が魅力あふれる上声部を形成します。3人の演奏家が、それぞれ自らの美質を最高度に発揮しあった演奏といってよいでしょう。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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