2015年07月07日

ジュリーニ&ロサンゼルス・フィルのベートーヴェン:交響曲第5番、シューマン:交響曲第3番「ライン」


この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。



本作は、ジュリーニが1978年から1984年まで音楽監督を務めたロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団との名演揃いの録音の中から、このオーケストラを見事に統率した密度の濃い演奏を展開するベートーヴェンの「第5」とシューマンの「第3」を収めたアルバム。

ジュリーニの溢れんばかりの歌心とロサンゼルス・フィルの力強さが相俟った、いずれ劣らぬ素晴らしい名演だ。

先ず、ベートーヴェンの「第5」であるが、ジュリーニは、後年にもミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団とともに同曲を再録音しているが、断然、本盤の方が骨太な名演である。

演奏はドラマティックさは、さほどなく、あくまでも正攻法な演奏であり、カンタービレが効き歌心があるのが特色だ。

いかにもジュリーニならではの粘着質とも言うべき重厚さと厳しい造形美を兼ね備えた演奏ではあるが、情感の豊かさにおいてもいささかも不足はない。

その意味では硬軟併せ持つ、いい意味でのバランスのとれた名演に仕上がっている。

極めて密度の濃い、真正な精神性を持ち得る人間のみが到達することのできる素晴らしい演奏だ。

ポピュラーな「第5」をこれ程までに磨き上げられた音楽に造り上げたジュリーニの功績にただただ脱帽するのみある。

他方、シューマンの「第3」も名演で、LPで聴いて以来、ジュリーニの指揮の素晴らしさに、深く感銘を受けた。

シューリヒトの名演もあるが、録音の良さを含めると、本盤のジュリーニによる2度目の録音の方を随一の名演と高く評価したい。

出だしからして重厚壮大で、冒頭から芯があり、高貴なるカンタービレが響きわたり、豊饒にして雄渾な音色に引き込まれる。

そして奇を衒わず、ひたすらに音楽に奉仕するジュリーニの敬謙で清々しい姿が浮き上がる。

メータ時代、よく鳴るがちょっと粗いと感じたロサンゼルス・フィルも、精度の高い密度の濃い演奏を展開している。

明朗で雄大な演奏であり、所々に同曲のマーラー編曲版のアイディアが生かされている。

確かに、本盤以外の演奏を聴くと、楽器全体の響きが聴き取りにくく、どこかにアンバランスが生じているように感じる。

筆者には、ジュリーニの才覚をもって、ようやくシューマンのオーケストラ曲の全体構造が見渡された感がする。

マーラー版の使用により、全体としては、ベートーヴェンの「第5」と同様に重厚で粘着質の演奏とも言えるが、それでいて、ジュリーニ特有の優美なフレージングが随所に効果的に聴かれるなど、いい意味でのバランスのとれた温かみのある演奏に仕上がっている。

美しいライン川周辺の自然が眼前に飛び込んでくるかのような光景を彷彿とさせるような悠然とした趣と優美な抒情や、シューマンの最晩年の絶望感に苛まれた心象風景の描出にもいささかの不足はない。

両曲ともに、ロサンゼルス・フィルは見事な演奏を行っているが、必ずしも一流とは言えない同楽団に、これだけの名演奏をさせたジュリーニの類稀なる統率力にも大いに拍手を送りたい。

この2曲を癖を感じさせず、しかも、ジュリーニの解釈が良い方向に向いており、それぞれの曲の価値を高めているという点で、大いに推薦したいディスクである。

ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング



フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室



classicalmusic at 00:47コメント(0)トラックバック(0)ジュリーニ | シューマン 

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
メルマガ登録・解除
 

Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

Categories
Archives
Recent Comments
記事検索
  • ライブドアブログ