2022年02月12日

現代の作曲家とも思えないような美しい旋律に満ち溢れた名作、田部京子の吉松隆:プレイアデス舞曲集 2


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田部京子の演奏で1996年にリリースされ、大好評を博した「プレイアデス舞曲集」の続編になる。

本盤に収められている作品の多くは田部京子のために書かれたもので、彼女の魅力を最大限に引き出した珠玉の小品である。

まずは、このように美しいピアノ作品集を作曲した吉松隆氏に感謝の気持ちを捧げたい。

今回収録されているのは、「プレイアデス舞曲集」第6集から第9集までと、田部の誕生日に贈られた「2つのロマンス」、そしていくつかの小品集である。

収録曲は、いずれも“夢”と“星”に因んだものばかり。

透明、リリカル、美しい、シンプルといったお約束めいた単語を書き連ねて、吉松隆氏の作品を論じるつもりはないが、田部京子という類い希な表現者を通じて、確固たる“小宇宙”を形成しているのが、とにもかくにも印象的だ。

タイトル通り、夜の空にひとりでしんと耳をすますと宇宙から聴こえてきそうな星の音、星の燃える音、ぶつかる音...それらを音曲にしたような星の音楽。

どの楽曲も、現代の作曲家とも思えないような美しい旋律に満ち溢れた名作であり、各楽曲につけられた題名もセンス抜群である。

全部で38の“小宇宙”を聴き終えて、ある時は慈しむように、またある時は鋭敏に奏で上げていくピアニストのセンスが実感できる、きわめてユニークなアルバムになっている。

筆者も、前作で初めて吉松隆氏の作品に接することになったが、今作もそのあまりのセンス抜群の美しさにすっかりと感動してしまった。

吉松隆氏と言えば現代クラシック界の難解な音楽に反旗を翻すいわば異端的な存在とも言えるが、だからといって彼を退嬰的であるとは少しも思わない。

吉松隆氏の音楽にサティやドビュッシーなど近代の作曲家の影響を見出すのはた易いが、彼の音楽は間違いなく20世紀初頭に書かれ得たものではなく、紛れもない、我々現代人の感性によって生み出されたものである。

ジャズとクラシックとの融合が20世紀初頭の音楽家たちにとって1つの前衛であったように、吉松隆氏の音楽は、ポップスとクラシックの高度な融合を図っているように思える。

そして、この手の試みの中で稀有な成功を果たした例として、彼の音楽は世界の最前衛に位置していると言っても過言ではない。

演奏であるが、田部京子は極めて洗練された魅力的な音色で描き出していて、このような美しい作品にびったりと言えよう。

田部京子はその簡潔な譜面に豊かなイマジネーションを投影し、感覚に訴える演奏を聴かせるが、常に芯が通っていて、流れが引き締まっている。

田部京子は、この同じデンオン・シリーズの中で、メンデルスゾーンの無言歌集(吉松隆氏の作品と同様の美しい小品集)でも名演を録音しているが、アプローチはメンデルスゾーンの場合と同じ。

女流ピアニストならではの繊細なタッチと、ここぞという時の力強い打鍵がバランスよくマッチングしており、吉松隆氏の素晴らしい音楽を更なる高みに持ち上げている。

ただでさえ美しい38の各楽曲が、同CDの宣伝文句にも記述されているように、あたかも宝石のような38の神秘的な小宇宙を紡ぎ出していっている。

そう、まずは虚心坦懐に耳を傾けてみよう! 20世紀末から新世紀へと移り変わった期間に、作曲者が書き綴った“夢”と“星”に寄せる愛すべき歌が聴こえてくることだろう。

音質も非常に鮮明であり、田部京子の繊細なタッチがよりクリアに表現されている点も、本CDの価値を大いに高めるのに貢献している。

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classicalmusic at 09:32コメント(0)現代音楽  

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Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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